欲を消したはずの指揮官が、勝ち星だけは逃さない。パ4位の日本ハムは27日の阪神戦(甲子園)に5―2で逆転勝ちし、交流戦開幕から2連勝。3位・ソフトバンクとのゲーム差も「1」に縮めた。

 1点を追う5回に3安打と敵失などで3点を奪って試合をひっくり返し、7回にも2点を追加。加藤貴之投手(33)が粘投で5勝目、柳川大晟投手(22)が12セーブ目を挙げた。試合後の新庄剛志監督(54)は「でも守備のミスも走塁のミスもあったので。当たり前のことをしっかりしないと負けを引き寄せてしまうから」と2失策を戒めた一方で、「でも乗っていけそうですね、本当に。ピッチャーとバッターがこういうふうにかみ合っていけばね。いい戦いをしたと思いますよ」と手応えも口にした。

 その上昇気配とは対照的に、指揮官の交流戦への温度感は意外なほど冷静だ。26日の阪神との交流戦初戦(甲子園)後、今季の目標を問われると「(昨季と同じ)11勝7敗ぐらい勝てたらもう十分な交流戦ですよ」と笑顔。交流戦優勝への意気込みについても「どのチームも11勝7敗ぐらいの勝ちは付けたい気持ちでいると思うんですけど…。でも交流戦で優勝したいとかはないもん」と言い切った。

 昨季までは「裏方さんに優勝賞金を配りたい」「チームに勢いがつく」と〝セ界制覇〟に前のめりだった。だが、今季の最優先目標は開幕前から掲げているパ・リーグ制覇。わずか18試合の交流戦で頂点を取りにいくより、長丁場のリーグ戦につながる戦い方を貫く。そこに方針転換の肝がある。

 近年の交流戦はパ・リーグ勢がセ・リーグを上回るケースも多い。日本ハムが勝ち星を積み上げても、他のパ球団も並走すればリーグ内の差は思うほど縮まらない。ならば短期決戦のように力を使い切るのではなく、勝ち方、選手起用、ミスの修正を重視する。選手に余計な重圧をかけず、夏場以降へ戦力を整える狙いも透ける。

 もちろん、足をすくわれれば「一人負け」の危険もある。新庄監督は1か月以上前から自らセ各球団の映像を見返し、対策を進めてきた。準備があるからこそ、交流戦優勝という分かりやすい旗をあえて掲げない余裕も生まれる。

 締めるところは締め、勝つべき試合は拾う。優勝を口にしない日本ハムが、気づけば一番厄介な存在になっている可能性は十分にある。