皮肉は、打ち返してこそ痛快さが増す。ドジャースの周辺で、カイル・タッカー外野手(29)の動向を巡る〝もう一つの構図〟が注目を集めている。

 ドジャース専門メディア「ドジャース・ウェイ」は、昨オフに4年総額2億4000万ドル(約384億円)の大型契約で加入した新右翼手について、古巣カブスのファンが開幕直後の不振に冷ややかな視線を向けた経緯を紹介。その一方、ドジャース側では「ここから本来の力を発揮し、そうした声を結果で黙らせてほしい」と待望するムードが強まっていると報じた。

 実際、タッカーは新天地で出足こそ鈍かった。昨季終盤からポストシーズンにかけての不振を引きずるような形となり、その流れが今季序盤にも重なったことで、カブスファンはSNS上などを通じ「契約を延長しなくて大正解だった」とばかりに高笑いするかのような反応を強めていたという。

 しかし、やはり古巣側が「見切る」には早過ぎたようだ。記事ではタッカーが勝ち越し打や今季1号を放つなど、徐々に本来の打撃を取り戻しつつある現状に着目。数字が戻り始めたことで、早々に嘲笑していた側の空気も、にわかに落ち着かなくなってきた。

 ドジャースファンが期待しているのは、単なる復調ではない。スターが並ぶ強力打線の中でタッカーが自然体のまま結果を積み重ね、最後に「結局、誰が正しかったのか」をはっきり示す展開だ。派手に言い返すのではなく淡々と打ち、勝利に絡み続ける。その積み重ねこそが、古巣のカブスファンにとっては何より堪える。タッカーの活躍が大きくなればなるほど、ロサンゼルスの歓迎は熱を帯び、シカゴの冷笑は段々と居場所を失っていく――。そのような流れをLA全体が待ち望んでいると、前出のドジャース・ウェイは記事の中で説いている。

 ドジャース側がタッカーに対して思い描いているのは、嘲笑された古巣ファンへの怒りをバネに変え〝静かな逆襲〟に打って出るシナリオなのだ。