巨人の則本昂大投手(35)が2日の中日戦(バンテリンドーム)で移籍後初先発し、7回85球、5安打2失点、無四球で粘投した。白星こそつかなかったものの、崩れない投球で首脳陣に十分な材料を残した。

 立ち上がりは申し分なかった。初回、2回をいずれも三者凡退。3回は先頭打者に安打を許したが落ち着いて後続を処理し、4回も走者を背負いながら踏ん張った。派手さではなく、試合の流れを壊さない。その真骨頂がにじむ序盤だった。

 痛恨だったのは0―0の5回だ。先頭打者に右前打を許し、一死一塁からサノーに2投目の127キロのスライダーを捉えられ、左翼席へ先制2ランを浴びた。失点はこの一発だけ。それでも右腕は下を向かなかった。6、7回はきっちり三者凡退に抑え、クオリティースタート(6回以上自責点3以内)を達成。先発としての責務は十分に果たしたと言っていい。

 試合後の阿部慎之助監督(47)も、その内容をしっかり評価した。「結果的に試合はつくってくれましたんで。次につなげてほしい」。勝敗だけでは測れない登板だったことを、指揮官のひと言が物語っている。

 そんな則本に対しては、古巣関係者からも先発ローテーションの「フル完走」を期待する声が上がっている。前出関係者は「体が丈夫なところは則本の持ち味。これまで、シーズン中にケガで長期離脱するということはなかった。この調子でいけば、1年間ローテーションを守り抜くことができるでしょう」とお墨付きを与えた。

 14年間のキャリアを重ねても、急な故障で計算が狂うタイプではない。この頑丈さは、今の巨人にとって何より大きい。山崎伊織投手(27)は右肩のコンディション不良で故障班に回り、戸郷翔征投手(25)も開幕前からフォーム修正に取り組むなど、投手陣は万全とは言い難い状況にある。だからこそ則本のように大崩れせず、登板日にイニングイーターとなるベテランの存在は重い。

 2年ぶりのリーグ優勝、そして14年ぶりの日本一奪還を狙うチームにとって、今季から加わった則本は単なる補強ではない。苦しい台所事情の中で計算を立て直せる「安心材料」そのものだ。初勝利は次回以降に持ち越しとなったが、今後の長い戦いで自身の価値を着実に証明していく。