侍ジャパンを倒して終わりではない。ベネズエラは14日(日本時間15日)にマイアミのローンデポ・パークで行われたWBC準々決勝で前回王者・日本を8―5で撃破し、2009年以来となる4強入りと2028年ロサンゼルス五輪出場権獲得を同時に決めた。しかも、その先には16日(日本時間17日)のイタリアとの準決勝が待つ。米スポーツ専門局「ESPN」は、この一戦を「祖国にさらなる祝祭をもたらす次の戦い」として大きく報じた。
象徴的だったのは、試合後のオマール・ロペス監督(49)の言葉だ。会見場の演壇に「58」の帽子を置き「ベネズエラに知り合いがいるなら電話してあげてください」と呼びかけた。58は米国からベネズエラへ電話をかける際の国番号。そこに込められていたのは、日本撃破の報告だけではない。祖国に「まだ夢の続きがある。次はイタリア戦だ」と伝えるメッセージでもあった。
在米ベネズエラ人が数多く暮らすマイアミの球場は、この夜、ほとんど「もうひとつの祖国」と化した。ESPNは、家族と離れて暮らすファンが「まるで故郷に帰ってきた気分」と語った様子を紹介。政治的混乱と分断に揺れる中で、野球が人々を束ねる最後の拠点になっている現実を浮かび上がらせた。エウヘニオ・スアレス内野手(34)も「この大会が国に必要な幸福をもたらしてくれた」と語っている。
試合前にはダッグアウトで太鼓が鳴り、ロナルド・アクーニャ外野手(28=ブレーブス)やグレイバー・トーレス内野手(29=タイガース)らが踊って空気をつくった。アクーニャの先頭弾、ウィリヤー・アブレイユの特大弾で日本をのみ込むと、球場全体が歓喜の渦に包まれた。ロペス監督は「あと2試合できれば、国全体で1週間は祝える」とまで口にしたという。
日本撃破はゴールではない。イタリアとの準決勝は、ベネズエラにとって祖国の祝祭をもう一段上へ押し上げる〝次の号砲〟になっている













