ようやく米国代表が「MLBオールスター軍団」の本来の顔を取り戻した。米国は15日(日本時間16日)、マイアミのローンデポ・パークで行われたWBC準決勝でドミニカ共和国を2―1で撃破。3大会連続の決勝進出を決めた。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」は、米国が「自分たちらしい勝ち方」にたどり着いた夜として、この準決勝を大きくクローズアップした。

 同メディアは米国について、単なる勝敗ではなく「ここまでの迷走」と「この夜の覚醒」を対比。今大会の米国はブライス・ハーパー外野手(33=フィリーズ)が大会前に五輪との比較を口にするなど、WBCの重みを測りかねる空気を引きずっていた。タリク・スクバル投手(29=タイガース)は1試合の先発だけでチームを離れ、マーク・デローサ監督(51)は1次ラウンド突破前の時点で「すでに準々決勝進出は決まっている」と失言し批判を浴びた。実際に指揮官の問題発言の直後、イタリアに敗れて敗退危機に陥るなど顔触れの豪華さに比べて「本当に勝ちに来ているのか」と見られても仕方のない危うさがあった。

 それでもドミニカ共和国という最大級の難敵を前に、米国はようやく一つになった。相手の派手な感情表現や祝祭的な空気に無理に合わせるのではなく、投打守を高水準でかみ合わせ、接戦を制する。そこに見えたのは、スターの寄せ集めではなく勝負どころを知る「MLBオールスター軍団」の本来の姿だった。

 ドミニカ共和国が1点を追う展開で迎えた9回二死三塁。結果的に最後となったストライク判定を巡っては物議も残ったが、それでも米国がこの夜、優勝候補にふさわしい輪郭を取り戻したことは揺るがない。

 前出のジ・アスレチックが「ドミニカ共和国とのヘビー級戦に勝利した」と独特の表現で描いたのは決勝進出そのもの以上に、米国がようやく〝本気の顔〟を手にした瞬間だった。