侍ジャパンの菅野智之投手(36=ロッキーズ)の意外な〝美学〟が、古巣・巨人関係者の間で改めて話題を集めている。

 2017年大会以来のWBC出場となった最年長右腕は、8日のオーストラリア戦(東京ドーム)に先発し、4回4安打無失点の好投。日本の準々決勝進出に大きく貢献した。大舞台での落ち着いた投球は健在で、あらためてその存在感を印象づけた。

 舞台は米フロリダ州マイアミへ移る。菅野は準決勝の先発候補にも挙がっており、再び重責を担う可能性がある。そんな中で注目されているのが、昨年末のトークイベントで明かした〝自分へのご褒美〟にまつわるエピソードだ。

 参加したファンから「節目に記念で買ったもの」を問われた菅野は、「絵が好きで、毎年タイトルを取らせてもらったので、そのたびに絵を買っていたんです。絵を見ると『あの年に獲った時のものだな』と思い出せるようにしていました」と告白。さらに「今は飾る壁がなくなってきた」と笑顔で明かし、会場の笑いを誘った。

 菅野の球歴を振り返れば、その言葉に誇張はない。沢村賞2度、最優秀選手3度、最優秀防御率4度、最多勝4度など、積み重ねてきたタイトルはまさに球界屈指。節目ごとに絵を買い求めてきたのであれば、壁が埋まっていくのも不思議ではない。

 巨人関係者の一人も「高級車や時計ではなく、タイトルの記憶を絵で残すというのは菅野さんらしい。派手さよりも、自分の歩みを形にして残すところにロマンがある。すごくしゃれた趣味だと思います」と語る。さらに「もし今大会で日本が世界一になれば、菅野さんにとっても特別な意味を持つはず。コレクションに加わる一枚も、きっとこれまでとは別格になる」と期待を寄せた。

 壁を彩る絵の数々は、右腕が積み上げてきた勲章であり、野球人生そのものでもある。今大会について「僕もラストチャンスになると思う」と口にするベテランにとって、このWBCは集大成の舞台だ。悲願の世界一に手が届いた時、また新たな一枚が加わるのか。菅野の〝勝者の美学〟は、ローンデポ・パークのマウンドでも続いている。