侍ジャパンの大谷翔平(31=ドジャース)が13日(日本時間14日)に米フロリダ州マイアミのローンデポ・パークで行われた全体練習に参加し、14日(同15日)に行われるWBC準々決勝・ベネズエラ戦へ向け汗を流した。名実ともに球界をレペゼンする超長距離砲だけに、対戦各国からのマークはもはや“超戒厳”レベル。大谷神話の1ページを彩る「1試合5敬遠」の再現すら現実味を帯びてきた――。

 この日の練習で、侍ナインたちを相手のライブBPも行った大谷は「ボリュームもクオリティーも出せたと思う」と笑顔。とはいえこれは「大会と同時進行して行ってきた」ドジャースのシーズン開幕へ向けた準備であることを強調した。

 WBC本大会での投手登板の可能性については「今のところはないですね。それが球団との約束ですし快く送り出してくれたチームに対する誠意だと思う」と明確に否定。とはいえ「(今後)ケガ人が何人出るかというのは予想できない。全くのゼロということは何事にも言いたくはないのですけど」とわずかな含みも残した。

 丁寧に言葉を選びながら各国のメディアに対応していた大谷が相好を崩したのは、ベネズエラの大レジェンドのある発言について話題が及んだ時のことだ。

 同国代表チームで打撃コーチを務めている元MLB3冠王のミゲル・カブレラ氏は前夜12日に行われたドミニカ共和国戦終了後、「大谷は4打席とも全て歩かせるよ」と発言。冗談とも本気とも取れるニュアンスだった。

 大谷は「僕の東京の家にはカブレラのサインバットが飾ってあるのですが、触って力をつけてきたので発揮したいと思う。打てなかったら御利益がなかったということで(笑い)」とジョークで応酬した。

 とはいえ「1試合4敬遠」という戦術は大谷を相手にする場合、ジョークではなく「現実的な選択肢」だ。

 今も記憶に新しい2025年のワールドシリーズ第3戦で二塁打→ソロ本塁打、左中間適時二塁打→ソロ本塁打と、4打数4安打3打点の大暴れを披露したことで、ブルージェイズベンチは9回以降の第5、6、7、8打席に4連続で申告敬遠を選択。延長18回の第9打席でも、ほぼ勝負を避けられる形で四球を選び、これで1試合9出塁。ポストシーズン史上初で公式戦でも過去に3人だけ。米球界の頂点を決める大舞台で神話と呼ぶに値する記録を刻んだ。

 決勝で日本と対戦する可能性があるドミニカ共和国の関係者も「大谷の1次ラウンドの打撃成績を見てウンザリしたよ。出場3試合で打率5割5分6厘、2本塁打、6打点。OPSなんか2・025だぜ! これなら全部歩かせたって確かにお釣りがくるよ」と苦笑い。

 一般的に「・900を超えれば一流。1・000オーバーなら超一流」と呼ばれる指標において、短期決戦とはいえ異常な数値を残しているのだから、カブレラコーチの発言にも現実味は増してくる。WBCで全打席敬遠となったら、地球上の野球ファンは大ブーイングだろう。世界一を決める舞台で新たな神話は書き加えられるのか。注目だ。

 【ライブBP登板で森下ら相手に7K圧倒】大谷は全体練習前に実戦形式のライブBPに登板して森下(阪神)、小園(広島)ら侍ナインと対戦した。4回想定でのべ18人の打者に59球投げ、安打性2本、7奪三振と圧倒した。シンカー、カーブなどの変化球にナインは目を白黒させていた。井端弘和監督(50)は「ドジャースから、大谷の投球プランを頂いているので」とMLBの公式戦のための準備であることを強調した。大谷をWBC本大会で投手起用しないというチーム方針に今のところ変更はない。