侍ジャパンは8日のオーストラリア戦(東京ドーム)に4―3で競り勝ち、無傷の3連勝でマイアミで行われる準々決勝進出を決めた。大会全体のトレンドと開催球場の地の利を読み切った井端弘和監督(50)の〝株価〟はここへきて急上昇。現役時代の恩師にも当たる落合博満氏(72)とダブらせる声まであり、評価を高めている。
壮絶な打撃戦となった前日7日の韓国戦とは対照的なロースコアゲームをもぎとった井端監督は「何とか粘って勝ち越せた。非常に満足しています」と安堵の表情をのぞかせた。会見の場で多弁になることはほとんどなく、コメントは常に必要最低限。各対戦チームの目と耳に細心の注意を払いながら、手の内は極力明かそうとしない。
ここまで8試合を消化した1次ラウンドC組全体では、すでに23本塁打が飛び交った。「空中戦を制するチームがゲームを制する」といった展開が続いているが、井端監督は「ある程度想定していた。日本ラウンドだけでなくアメリカ(決勝ラウンド)でも非常にホームランは多くなると思っていたので、そこまで驚いていない」と冷静だ。
指導者経験も豊富な球界の大物OBは「井端といえば黄金期の落合監督の中日で不動の遊撃手として君臨した男。イメージ的にも〝スモールベースボール〟を地で行くような野球をするのかと思っていたが、実際にはその真逆で驚いた」と目を見張った。
指揮官着任当初から「特にWBC決勝トーナメントなどではホームランでしか点が入らない」と持論を述べていた井端監督は、大谷(ドジャース)鈴木(カブス)を筆頭に村上(ホワイトソックス)、岡本(ブルージェイズ)、佐藤(阪神)、牧(DeNA)ら大砲タイプに重点を置き、代表メンバーを編成した。
中堅守備に不慣れな鈴木を置くなど大艦巨砲主義的なオーダーで大会に臨んでいるが、前出OBは「東京ドームだけでなく、マイアミのローンデポ・パークも狭く、本塁打が出やすいことで知られている。ましてや現状のNPB球よりはるかに飛びやすいWBC球。これらの諸条件を見極めた上での戦略だったのだろう」と分析。さらにこうも続けた。
「落合野球の真逆をいくようなアンチ・スモールベースボールとなっているが、これもある種の現実的な判断なのだろう。落合監督から継承したのはリアリストとしての側面だったのかもしれない」
この日のオーストラリア戦でも白星に直結したのは0―1の7回に吉田(レッドソックス)が放った逆転2ラン。勝利への道筋を冷徹なまでに検算しながら、小柄な男がビッグマンたちを束ねている。












