野球日本代表の侍ジャパンはWBC連覇に向けて3月6日の台湾戦(東京ドーム)で1次ラウンド初戦を迎える。対戦相手の台湾代表は5日のオーストラリア戦(同)に続く2戦目となるが、並々ならぬ決意で向かってきそうだ。

 現在でこそ世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の世界ランキングで、1位の日本に次ぐ2位となっているが、2000年代以降の国際大会では韓国などのライバルチームの後塵を拝してきた。24年に行われたプレミア12では侍ジャパンを破って悲願の初優勝。成長の背景にあったのは「日本の野球」を手本にした地道な努力だった。

 代表を管轄する中華民国棒球協会はU―12、U―15、U―18といった世代ごとに選手を強化。台湾プロ野球(CPBL)も10年代からNPB経験者を指導者やトレーナーの立場で次々と招へいし、フィールディングや細かな技術、連係面に至るまで緻密な野球を植えつけてきた。

 今季も全6球団にNPBのコーチ経験者が在籍し、中信兄弟には元阪神の平野恵一氏、台湾楽天では元近鉄の古久保健二氏が監督を務めている。野球を通じた盛んな交流を物語るように、コーチとして招かれた日本球界OBは「中国語と日本語をできる通訳が台湾のコーチや選手に指示や作戦を伝えるなど、今はチームによってはミーティングが日本語で行われているほど」と打ち明ける。台湾チームで言語が〝逆転〟する現象まで起きているという。

 また、普段から台湾でプレーする20代の選手たちは遠いMLBよりも、NPBへの関心の方が強いそうだ。

「台湾と日本の時差が約1時間。NPBの選手がデーゲームの試合前にクラブハウスでMLB中継を見ている感覚で、台湾の選手は試合前のクラブハウスでNPBの試合を見ています。MLBの選手は知らなくても、NPBの選手はかなり細かく知っています」

 今大会の台湾代表ではMLB傘下でプレーする選手も名を連ねる中、前出OBが「リーダー的な存在になるのは間違いない」と挙げたのは、元西武の呉念庭(32=ウー・ネンティン、台鋼)と岡山共生高校出身の陳傑憲(32=チェン・ジーシェン、統一)の2人だった。WBCの大舞台でもNPBをベースとしたスタイルで臨んできそうだ。

 プレミア12で示した一つの結果が〝本物〟になるかどうか。侍ジャパンとの一戦は今後の台湾球界の発展を占う意味でも本気で倒しにくる。