1984年ロサンゼルス五輪柔道男子無差別級金メダリストで、日本オリンピック委員会(JOC)前会長の山下泰裕氏(68)が18日、約2年前の頸髄損傷後、初めて記者会見を行った。

 山下氏は2023年10月29日、家族で訪れた神奈川・箱根町の温泉施設の露天風呂から上がる際に意識を失い、崖下に転倒。頸髄損傷の大ケガを負い、リハビリを経て今年9月に退院した。

 11月下旬からは母校の東海大で体育学部武道学科特任教授として「柔道論」の講義を担当。この日、全4回の授業を終え、神奈川・湘南キャンパスで「せっかく平塚まで来ていただいたので、時間の許す範囲でご質問にお答えしたい」と報道陣の取材に応じた。

 事故当時の状況は「ヒートショックだったのではと思う」と振り返った。さらに、当時JOC会長の任期中で「最初に思ったのは、これでプレッシャーから解放されるかな…それが正直なところでした」と心境を吐露する。

 現在は「首から上は達者だが、上半身、下半身は全く動かない。左手は少し動くが、手首から先は麻痺している」と状態を説明した。復帰後の教壇では「先週の授業で、途中で2回給水し、2回鼻水を横で(スタッフに)拭いてもらった」と、サポートを受けながら講義を行った。

 かつて〝日本最強の柔道家〟と言われていたが「昔だったら当然、恥ずかしいとか人前にさらけ出したくないと考えるかもしれないが、私の中ではそれ以上に、生かされて果たすべきことは何かという思いが強い。だから、自分のありのままの姿を学生にさらけ出して、障がい者として学生たちに身近に感じてもらえたらと思う。今後も無理のない範囲で活動していきたい」と意欲を示していた。