火の玉指揮官が故郷・土佐の国で〝悟りの境地〟に達した。阪神・藤川球児監督(45)が10日、高知市内で開催された「高知県タイガース優勝記念パレード」に登場。幼少期に鬼ごっこをしていたアーケード街に、今度は虎の指揮官として帰ってきた。

 沿道を埋め尽くした地元ファンからの「球児ありがとう」「ようやった」の大声援に「本当に恩返し、恩返しの思いでやってきましたから。本当に素晴らしい景色でした」と笑顔を見せた。

 就任1年目で史上最速のリーグ優勝。恩返しを胸に挑んだシーズンを終え、どこか悟りを開いたかのようだった。パレード前に行われた表彰式では感極まりながらスピーチし、12分間の取材では7回も「人生」「縁」を連呼。さらに今シーズンを「監督業というのは、本当に甲子園のフィールド内に自分の体と心を全て入れていた。座禅を組んでいるような1年でした」と振り返った。

パレードのバスから、ファンの声援に応える阪神・藤川監督(左)
パレードのバスから、ファンの声援に応える阪神・藤川監督(左)

 甲子園のグラウンドと物心一如となって勝負に没頭。邪念を捨てた〝火の玉修行僧〟は、ようやく外の景色を見たという。「久しぶりにこの外の景色を見ました。1年前、監督になる前に歩いた高知のアーケードとは全然違う。すごく勉強になりました」と感慨深げだった。

 藤川監督にとって、そんな故郷は「羽を休める場所」でもある。恩返しを原動力に〝荒行〟を乗り越えた藤川監督は、少しだけ息をつき「僕は野球に飲まれなかったなあと。今日は本当の自分に戻れましたし、地元でベッドに横たわるような瞬間でした」と独特な言い回しで心境を語っていた。

 座禅のように静かで熱い1年を経て、無我の境地に達した指揮官。来季も煩悩を捨て、悲願の日本一奪還に向けて歩き出す。