「百折不撓」の屈強な精神力が実を結ぼうとしている。阪神は16日に17日からの広島2連戦(マツダ)に向けて広島入り。今季マツダスタジアムでのラストゲームに臨む。史上最速Vを果たした中、チームはクライマックスシリーズに向けて再調整の段階となっている。

 そんな今シーズン、大きく出番を増やしたのがプロ5年目・高寺望夢内野手(22)だ。本職は内野手だが、主に左翼としてキャリアハイを更新する57試合に出場し、若虎の成長株として一躍名を上げた。「2年前(のリーグ優勝)は何もしてないんで、うれしいとかわかんなかったですけど…。今年は、ほぼ1年間一軍にいれて優勝できてうれしかったですね」と、充実のシーズンを振り返る。

 しかし順風満帆というわけではなかった。8月30日の巨人戦(甲子園)では1点リードの6回一死一塁から代打で出場し犠打を試みるも投飛としてしまい、バント失敗。一塁へ駆け抜けることなく、そのままベンチへ引き下がった。普段は淡々とゲームを振り返る藤川球児監督(45)も試合後「お子ちゃまレベルの選手が多い」、「まだまだひよっこな選手がいる」と珍しく語気を強めた。

 だが高寺は翌日からも一軍登録を抹消されることなく、優勝当日の7日、広島戦(甲子園)では「7番・左翼」でスタメン出場。歓喜のビールかけでは指揮官から「お子ちゃまがお酒を飲んでますよ(笑い)」とイジられると、「お子ちゃまなんで、頑張ります」と満面の笑みで切り返した。

 高寺は「あの場だったんで流れで言ってしましました」と苦笑いを浮かべつつ、苦言をイジリに変えてくれた指揮官に「うれしいというか、また取り返してやろうという気持ちになりました」と感謝を口にしていた。

 約1か月後にはポストシーズンも控えるが、まずはレギュラーシーズンでのアピールを狙う。「今は残りシーズンで自分の成績を上げるということだったり、出た試合で結果を出すということだけを考えています」と言葉に力を込めた。指揮官のイジリを力に変え、おこちゃまから頼れる男へ――。今季ラストスパートでの奮闘に注目だ。