セ・リーグ5位の中日は15日の阪神戦(甲子園)に2―6で敗れて借金は今季最多タイの「14」。3位の巨人とは6・5ゲーム差で13年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出はかなり厳しくなってきた。シーズン終盤で大失速モードに入ってしまった中日だが、そのきっかけとなったのが〝藤浪ショック〟だとささやかれている。

「あの試合がターニングポイントだった」。OBや関係者の間で話題になっているのが8月31日のDeNA戦(横浜)だ。当時3位のDeNAと0・5差で迎えた試合で、相手先発は右打者への抜け球に心配がある藤浪晋太郎投手(31)だった。

藤浪に対し左打線で臨んだ中日
藤浪に対し左打線で臨んだ中日

 同月17日の藤浪との今季初対戦でスタメンに9人の左打者を並べた井上一樹監督(54)は、この試合でも遊撃手のロドリゲスを除いて8人の左打者を先発起用。細川、田中、石伊、山本はベンチスタートとなり、打率1割台の樋口や宇佐見がスタメン表に名を連ねた。

 だが、苦手の右打者への制球を意識することなく楽に投げることができた藤浪は中日打線を相手にス~イスイ。さらに、中日は0―1で迎えた7回に一死二、三塁と逆転のチャンスをつかんだが、井上監督が代打に送ったのは細川でもブライトでもなく、辻本(結果は二飛)だった。藤浪に対して最後まで右の主力打者を打席に立たせることはなく、0―2で敗れて連勝も「4」でストップ。7回無失点の藤浪に日本球界復帰後の初勝利をプレゼントした。

 この試合に敗れて以降、中日は4勝10敗と大失速。13年ぶりのCS出場へ期待が高まっていただけに、名古屋の街には一気に失望ムードが広がっている。

 中日OBで元バッテリーコーチの金山仙吉氏(73)は「やっぱりあの試合(8月31日)で負けた影響が大きい」と指摘する。藤浪は9月7日のヤクルト戦(横浜)、9月14日の巨人戦(横浜)にも先発したが、ヤクルトはオスナ、内山、中村ら右打者6人、巨人は岡本、岸田、リチャードら右打者4人をスタメンに起用。「選手を守ろうという気持ちは分かるけど、他のチームは普通に右打者を出している。中日もベストメンバーで臨んでほしかった。残念だよ」と語った。

 金山氏は現役時代、〝燃える男〟星野仙一さん(故人)の女房役を務め、星野監督時代は監督付き広報を務めたバリバリの星野派。それだけに思うところがあるのだろう。「星野監督だったら絶対に右打者を出している。負け戦になるような布陣は組まない。試合でやっつければいいんだから」と寂しそうにつぶやいた。

 中日は17日からホームでDeNAとの2連戦。藤浪は15日に登録抹消となったため今回の対戦はないが、DeNAには今季8勝15敗と大きく負け越している。CS出場の可能性が少なくなっても、声をからして応援してくれるファンのためにも天敵相手に意地を見せられるか――。