セ5位の中日は17日のDeNA戦(バンテリン)で、延長12回に4―5で敗れて3連敗。3位チームを相手に5ゲーム差に突き放され、CS出場に黄信号がともった。井上一樹監督(54)は相手先発・藤浪晋太郎投手(31)への〝死球対策〟として1番から9番まで左打者を並べた。Aクラス争いの佳境で4番・細川成也外野手(27)もベンチスタートとしたのは是か非か――。中日OBの間でも意見が割れている。

 試合後、スタメンに左打者を並べた意図を聞かれた井上監督は「それはそうやろ。俺もケガ人は出したくないし」と厳しい表情で語った。

「ベストオーダーで臨めない。それはしょうがない。その投手を立てられたら。普段出てない控えのメンバーを出しながら左を並べるという策しかない。〝よっしゃよっしゃ〟と向こうに思われてもしゃくにさわるけど、右の細川、石伊に万が一のことがあったらと思うと。他の監督もたぶんそうするのじゃないかな」。藤浪はこの日が3年ぶりとなる日本球界復帰戦で、竜打線は右腕が降板する5回までに5安打で1得点だった。

 右打者に対する藤浪の抜け球にナーバスになるのも無理はない。阪神に在籍していた時期に、死球の被害を最も受けていたのがドラゴンズだったからだ。

 2019年2月24日に行われた阪神とのオープン戦(北谷)では、藤浪の抜けたボールが阿部(現楽天)の顔面付近を襲った。幸いにも死球にはならなかったが、当時の与田監督も「北谷でヘタしたら阿部は死んでましたよ。紙一重だった」と肝を冷やしたほど。同年8月3日の阪神戦(甲子園)では木下が2打席連続でぶつけられ「あれだけ荒れていたら打ちにいけない」「右打者はなかなか踏み込めないのでは」と、中日ベンチからは藤浪に対する怒りの声が沸き起こった。

 中日OBで本紙評論家の宇野勝氏は「(現役時代の)自分も右打者だから分かるけど、150キロを超えるボールが抜けて体に向かってきたら、本当に怖いよ。ヘタすると野球人生が終わってしまうこともある。ボールを怖がるなと言われるかもしれないけど、自分も(藤浪が投げる時には)打席に立ちたくない」と本音を明かした上で「Aクラス争いの大事なゲームだし、本当に難しいけど左を並べたからといって勝てないわけではない。今日の先発オーダーについては分かる」と井上采配に理解を示した。

 その一方、13年ぶりのCS出場に大きな影響を与える一戦で4番・細川をスタメン起用しなかったことを疑問視する声も出ている。

 細川は7回二死一、二塁の場面で代打で登場して四球を選んだが、8回に3番手として登板した清水と交代。中日OBで元バッテリーコーチの金山仙吉氏は「今日負ければDeNAとは5ゲーム差となり、CS出場は厳しくなると分かっていたはず。もちろんぶつけられてはいけないが、いつも以上に防具をつけて打席に入るなど手はあったはず。中日の置かれている状況と残り試合を考えれば、この大事な局面で細川を先発出場させなかったことは何か寂しいね」と否定的だ。

 中日は2週間後の29~31日に敵地・横浜でDeNAと対戦するだけに、再び藤浪と対戦する可能性もある。松中打撃統括コーチは「守るのが僕たちの仕事。本人(細川)が出たいと言っても、もしリスクがあるなら止めなければいけない立場。今日みたいに左でいくと思います」と話したが…。

 藤浪登板時に中日がどんなオーダーを組むのか。今後も波紋を呼びそうだ。