待てど暮らせど、連絡はなかった――。今夏も期限ぎりぎりにドラマがあったMLBのトレード市場。そんな中で移籍が濃厚とされていた元サイ・ヤング賞右腕は「残留」で落ち着いた。
マーリンズの絶対的エースであるサンディ・アルカンタラ投手(29)。ヤンキース、レッドソックスの名門2球団が獲得に迫ったという報道もあったが、デッドラインまでにビッグニュースは舞い込まなかった。
移籍市場の動きに明るい敏腕記者のジョン・ヘイマン氏は自身のX(旧ツイッター)で舞台裏で名だたる強豪球団が積極的に交渉を仕掛けながら決裂に至った理由について「マーリンズは大きな成果が必要だった」と強調。アルカンタラはマーリンズと2026年まで契約を残している。21年オフに締結した5年契約は総額5600万ドル(約83億円)。サイ・ヤング賞投手としては、現在の市場レベルにおいて「格安」と言える。チームの財政を大きく圧迫しているわけではないだけに、マーリンズが名門を相手に下手に出る必要はなかったとみられる。
今シーズン開幕前から移籍の噂が絶えなかったアルカンタラ。トレード期限最終日をどんな心境で迎えていたのか。MLB公式サイトによると、右腕は家族とテレビを見ながら携帯電話を2秒おきに確認していたという。トレードデッドラインが近づくにつれて、自身よりも移籍可能性が低いとみられていた大物が続々と動きを見せる中、心中は穏やかではなかったはず。2秒おきの着信確認が、その胸の内を雄弁に語っていた。
大方の予想に反して、まさかの残留という結末にアルカンタラは「移籍すると思っていたので、マイアミに残れてうれしい。ここが自分の家だからね。もし昨日トレードされていたら、それはそれ。今ここにいることがすべてで、すごく幸せだ」とマーリンズ愛を強調したという。
人生で最も厳しい一日――。運命が決まる日をそんなふうにも表現した右腕。それでも遅かれ早かれ、次なる〝その日〟がやってくることは想像にかたくない。












