F1レッドブルで窮地が続く角田裕毅(25)の今後にレジェンドが出した答えは――。角田は今季開幕後に4月の日本グランプリ(GP)から緊急昇格したものの低迷が続いており、去就が注目される事態になっている。ホンダレーシングスクールの大先輩で、2004年米国GPで日本人最高タイの3位になるなどF1で活躍した佐藤琢磨(48)を直撃。現在の角田が陥っている不振の要因を説明した上で、今後の躍進が可能なのかズバリ指摘した。

 角田は母国凱旋の日本GPから緊急昇格し、F1のトップチームに初めて日本人選手が入団したこともあり、大きな脚光を浴びた。

 だがレッドブルでは、昨季まで4年連続チャンピオンのスーパースター、マックス・フェルスタッペン(オランダ)を優先するチーム事情もあり、角田はマシンの性能がなかなか向上せず悪戦苦闘。5月のエミリアロマーニャGPで大クラッシュするなど自身のミスも続き、一時はシーズン途中の解雇も取りざたされる状況に陥った。3週間の短期休暇明けとなるベルギーGPではマシンのアップデート(改良)が一部投入されて予選では7番手と躍進したが、27日に行われた肝心の決勝では戦略ミスも響いて13位に沈み、トンネル脱出はならなかった。

 そうした苦境にある後輩を、2002年から7年間F1で活躍して表彰台も経験している佐藤はどう見ているのか。ベルギーGP前に直撃すると、熱く語ってくれた。

〝後輩〟角田裕毅を気づかった佐藤琢磨氏
〝後輩〟角田裕毅を気づかった佐藤琢磨氏

 まず今季の角田について「外から全てを知るのはすごく難しいと思う。特にF1の世界だと、チームのパフォーマンスもある。彼が今どういう状況に置かれているのか、レーシングドライバーとしての気持ちはわかるけど、全てを知るのは本当に不可能なので。祈るような気持ちで応援するしかない」と前置きした上で、こう続ける。

「少なくともフェルスタッペンという現役のチャンピオンが隣にいて、それを支えるトップチームの中で走れている。裕毅も今、たくさんのことを吸収している。彼の持ち味のスピードと強さが結果につながる日を、首を長くして待っています」と強豪の環境に慣れれば結果はおのずとついてくると期待を寄せた。

 角田にとって一番の難題となっているのがマシン。フェルスタッペンの要望に合わせて開発されている「RB21」の操作性の困難さが苦戦の要因になっているとの見方も多い。これについて佐藤は「シーズン途中にチームを移籍して、メカニックやエンジニアであったり、新しい環境に順応するのはすごく難しい」と指摘。異例となる開幕後の緊急昇格という状況は、やはり難しく「本来はオフシーズンからしっかり準備をしていく。それができなかった分、相手も(シーズン中に)良くなって、一生懸命追いかけているけど、その差がなかなか縮まらない」と分析する。

 それでも角田のポテンシャルを理解している佐藤は、光明はあると断言する。「そういう意味では少しずつ引き出しを増やしていって、これからくるシーズン終盤戦にかけて、より良いコンディションで走れることを期待している。裕毅の中で思い描いている課題であったり、やらなきゃいけないことはわかっていると思う」。角田のレーシングIQの高さと天性のスピードがあれば、強豪で花開く時が来ると太鼓判を押した。

 次戦は夏季休暇前最後の一戦となるハンガリーGP(決勝8月3日)。ここで存在感のある走りを見せたいところだ。