広島は29日の中日戦(バンテリン)に2―1で快勝した。2カード連続のカード勝ち越し&2位堅守の立役者はドラフト2位ルーキー・佐藤柳之介投手(22)だ。敵地でのプロ初登板初先発で竜打線を6回85球、2安打無失点の堂々たる投球を披露。打っては初の4番に座ったサンドロ・ファビアン外野手(27)が10号先制弾を含む全打点を稼ぎ出し、新井貴浩監督(48)の期待に応えた。

 2―1で迎えた9回二死二塁。一打同点のピンチも4番手・ハーンが佐藤を一邪飛に打ち取ったを見届けた佐藤柳は、表情を少しだけ緩め、ハイ・タッチの輪に加わった。ドラフト2位左腕はヒーローインタビューで、6回無失点のプロ初登板初勝利に「すごくうれしいです」と笑顔を見せると、左翼に陣取った鯉党から大歓声を浴びた。

「初回は、緊張しました」と振り返った本人の弁とは裏腹に、立ち上がりから安定感ある投球を披露した。初回は先頭・岡林から打者3人を内野フライで料理。最速143キロの直球、130キロ台のスプリット、カットボール、120キロ台のスライダー、110キロ台のカーブと多彩な球種を自在に操り、喫した安打は3回に7番・山本からの連打で浴びた2本のみ。無死一、二塁のピンチとなったが、続く9番・松葉の犠打を自ら処理し、三塁封殺するなど、マウンドさばきも常に落ち着いていた。続く岡林を直球で詰まらせ遊ゴロ併殺に打ち取って窮地を脱した。

 力投のルーキーに赤ヘル打線も応えた。中日・松葉に対し、今季初の4番に起用されたファビアンが「いい反応で感触はめちゃくちゃ良かった」と4回一死から敵左腕のカットボールを左翼席に叩き込む10号先制ソロを放つと、6回には二死三塁から、今度はチェンジアップを左前へ運ぶ、2点目適時打。抜擢初日から〝4番の仕事〟を果たし「どこでも自分のベストは出せるようにと思っている」とロースコアの接戦で全打点を叩き出した。

 中盤に援護をもらった佐藤柳は、その後もテンポ良く投げ続け、2つの四球こそ与えたものの決定打を許すことなく、6回85球を投げ、被安打2でお役御免に。7回以降の終盤は、島内→栗林、森浦→ハーンと3イニングを4人でつなぐ継投で逃げ切った。

 佐藤柳は、この日だけで2回にボスラーから奪ったプロ初三振、3回には自分の打席で右前打を記録したプロ初安打、さらにプロ初勝利と3つの記念球をゲット。「欲しいと思うので、あげようと思います」と観戦に訪れていた両親に贈るという。

 満を持してこの日プロで初めて一軍登録され、先発ローテーション入り試されたマウンドでの一発回答。孝行息子の出現に新井貴浩監督(48)は「初登板とは思えないような落ち着きがあった」とうれしい悲鳴を隠さなかったが、登板後の本人は「あまり一喜一憂しようとは思わない」と冷静そのもの。「今年の目標として、まず1勝というのは掲げていたので、次は2勝、3勝とできるように。任された試合はゲームをつくりたい」。

 大卒即戦力の触れ込みで入団した22歳左腕は投球同様、地に足をつけたスタイルで、謙虚にプロでの足場を固めていく。