日本ハムが11日の楽天戦(エスコン)に4―0で快勝し、38日ぶりの単独首位に浮上。先発した古林(グーリン)が9回100球未満で完封する「マダックス」を達成して今季2勝目を挙げ、試合後の新庄剛志監督(53)も「グーリンだけにぐうの音も出なかったね」と口も滑らかだった。

 ただ、この日の試合前には異例の光景が繰り広げられた。午前9時過ぎの早朝からバント練習が敢行されたのだ。

 この特別練習にはレイエスを含めた野手全員が参加。新庄監督から指導の依頼を受けた球団OBの田中賢介スペシャルアドバイザー(SA)が、グラウンドで円陣を組んだ野手に犠打の極意を伝授した。約10分間のレクチャーが終わるとナインは打撃ケージ周辺に集結し、静まり返った球場でレイエスや清宮幸、万波、野村ら長距離砲も含めて入念に繰り返した。

 シーズン中とは思えぬ異様な緊張感が漂ったことはいうまでもない。田中SAは「先週ぐらいに新庄監督から『全員にバントの話を』という話があったので」と経緯を説明。その上で「バントは技術的なこともありますが、メンタル的な要素も大きいので。これから大事な試合とかCS、日本シリーズという場面でいかに決められるかが強いチームになるための条件だと思う。そこに向けての準備をしていこうということ」とシーズン終盤に向けたものであることを強調した。

 今季は開幕直後から犠打失敗が続出し、犠打数はリーグ最少の「5」。この状況を打開するため、指揮官が〝先手〟を打った格好だが、別の狙いも見え隠れする。それは来月から始まる交流戦への対策だ。

 セ球団の本拠地で対戦する際は指名打者(DH)制がなく、必然的にバントの機会も増え、成否が勝敗も左右してくる。昨季の交流戦では7勝10敗1分けで負け越し、シーズン序盤の勢いを小休止させてしまった。今季は悲願のリーグ優勝を狙うだけに、同じ轍を踏みたくない指揮官の思いも当然かもしれない。

 この日の試合では「僕、1か月前から準備したいタイプ。準備不足だったら後悔するから」と普段DHのレイエスを一塁で起用した。異例の〝朝練〟は覇権奪回に向けた本気度の表れといえそうだ。