米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手の元通訳・水原一平氏の違法賭博問題で、捜査に携わっている内国歳入庁(IRS)。日本の国税庁にあたる政府機関がなぜ前面に出ているのか。
IRSには犯罪捜査部門(CI)があり、昨年の年次報告書によると2144人の特別捜査官が国内外で任務にあたる。令状執行は1334件で有罪判決は約88%。連邦検察に次ぐ有力な捜査機関の一つとなっている。
公式ウェブサイトによると、捜査対象は金融犯罪で脱税から麻薬取引、公的な汚職、医療詐欺、身分詐称など多岐にわたる。そして今回問題の違法スポーツ賭博(スポーツベッティング)も力を注ぐ対象だ。
プロアメフトのNFLが開幕した昨秋、IRS―CIは合法なスポーツ賭博の盛り上がりに触れた上で「ゲームが違法性を帯びれば(摘発に)取り組む準備がある。違法な賭博は結果的にマネー・ロンダリング(資金洗浄)や脱税などの罪に問われ得る」などと説明する声明を出した。
特別捜査官には強力な権限が与えられており、捜索から逮捕、差押などができる。潜入捜査や銃器の携帯も可能。それだけ危険な任務にあたる場合もあるということで、日本の「マルサ」こと国税庁調査査察部とは比較にならないほど規模も実力も強大だ。
単独のみならず、連邦捜査局(FBI)などとタッグも組む。協力関係は不明ながら、水原氏に対しては、あの9・11同時多発テロを受けて生まれた国土安全保障省(DHS)の名も出てきた。
スポーツ専門局ESPNによるとDHSは、IRSとともに水原氏の役割を含めた全体的な調査を進めていることを認めた。水原氏との関係が指摘される賭博の胴元マシュー・ボウヤー氏は、昨年10月からDHSやIRSの捜査対象となっているという。
水原氏の問題でIRSやDHSは、マネロンや脱税も視野に入っているのか? 一方で大谷が声明で明らかにした水原氏の巨額資金窃盗については、大谷の代理人が被害届の提出先を明かすことを拒んでいるとESPNが伝えた。州や連邦の捜査機関を取材したが、通報があったとの確認が取れないという。
水原氏はどうやって大谷の口座から賭け屋に送金できたのか。窃盗は捜査対象になっているのかも含めて、謎は少なくない。












