【韓国・ソウル18日発】開幕前なのに早くも…。ドジャース・大谷翔平投手(29)が当地で行われた韓国代表とのエキシビションマッチ(高尺スカイドーム)に「2番・DH」でスタメン出場。20日のパドレスとのMLB開幕戦前最後の実戦を3打数無安打で終えた。新天地で迎えるユニコーンの新章。本番はこれからだが、すでにメジャー関係者の間では「2番打者でも3冠王当確」の声まで上がっている。その理由とは――。

 球場内に充満した期待はため息に変わった。大谷は三邪飛、左飛、二ゴロに倒れて交代。それでもスイングするたびに歓声が上がり、圧倒的な存在感を放った。本人はコメントしなかったが、最終調整を終えたロバーツ監督はチームの仕上がりに手応えを口にし「確かに環境は違ったが、素晴らしいことだと思う」と独特な韓国式の応援スタイルにも理解を示した。

 何はともあれ、大谷にとってもいよいよ始まるメジャー7度目のシーズン。その幕開けを前に、MLB関係者からは「オオタニがミゲル・カブレラ以来となる3冠王となっても何ら不思議なことではない」と確信めいた言葉が数多く漏れ始めている。

 今季の起用法に照らし合わせればハードルは高い。ロバーツ監督はこの日、改めて「2番・DH」を基本線とすることを明言した。となれば、最も難度が高くなるのは打点だろう。エンゼルスに在籍した昨季、日本選手として初の本塁打王に輝いた大谷だが、95打点で14位タイ。自身のキャリアでも2021年の100打点が最多だ。しかも2番打者はクリーンアップと異なり、塁上に走者を置くケースが減り、一般的には打点を稼ぎにくい打順となっている。

 しかし、ア・リーグ球団の極東スカウトは「もちろん3、4番の方が打点を稼ぎやすいだろうが、ドジャースの場合は1番に最高のリードオフマンのベッツがいる。1人で二塁や三塁まで得点圏に進んでくれる」と指摘する。さらには「下位打線も強力だ。打線が途切れることなく下位から上位に回ることも多くあるだろう」と予測した。

〝ベッタニマン〟とも呼ばれる歴代MVPトリオで固められたベッツ、大谷、フリーマンの上位打線が注目されがちだが、下位も充実している。

 この日のオーダーでも9番のラックスこそ昨季は故障の影響で出場しなかったが、6番のヘルナンデスはMLB通算159本塁打で昨季26発。メジャー3年目の7番・アウトマンも昨季23発で、8番のベテラン・ヘイワードも通算174発で昨季15本塁打と健在ぶりを示した。上位や中軸だけに頼らず、どこからでもチャンスメークできる実力者がそろうからこそ打点減への懸念は解消されるというわけだ。実際に大谷から快音が響かなくても、この日の韓国代表戦で5―2と快勝したことも打線の強さを物語っている。

 加えて別のMLBスカウトは「極端な内野シフトが昨季から禁止され、2シーズン目になる。オオタニも新しい環境への慣れもあるだろう」とも語る。2年前までは右翼方向への打球が多かった大谷に対して一、二塁間を内野手3人が守る極端な守備隊形も敷かれた。そのルール変更も大谷の打率を2割7分3厘から3割4厘まで押し上げた一因ともされている。

 最後にMLBに3冠王が誕生したのは2012年。当時のカブレラは主に中軸の3番打者だったが、2番の大谷が3冠王に輝けば、それ以上の価値を持つかもしれない。今季は投打二刀流を封印し、打者に専念できる特異なシーズン。今度はどんな伝説を生むのか。