【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】昨年、機会を見つけては選手たちに「好きな球場」「好きな都市」「設備の良いクラブハウス」「選手食堂がおいしい球団」を聞いて回った。
30球団を訪れている選手がいいため、ある程度ベテラン狙いで各チーム最低3人が目標。きっかけは「選手たちはFA先をどう選ぶのか」という疑問に「職場環境もきっと大事なはず」と考えたことからだった。それも選手たちに聞いて回って勝率、契約年数、年俸額、居住環境、家族、チームの熱意、チームメートなど意見はさまざま。
最初は球場と都市だけだったのが、会話する中で選手しか見られない球場施設が気になり始め「好きなクラブハウス」を聞くと「食事の良さからヤンキース」という答えが立て続けに出たので、区別するためにこの4問とした。
解答自体も興味深かったが、1問目を聞いた時にあっさり答える人、目を丸くして「なんて難しい質問をするんだ」と熟考する人、論理立ててそれぞれの球場の良さを解説してくれる人など、何より選手らの反応の面白さに助けられ、結果的に100人以上の選手や野球関係者に協力いただいた。
「それ、すごい簡単な質問じゃないですし、超慎重に答えなきゃいけない」
シニカルだけど真面目、間違いなく熟考型の印象を受けたのは、ブルージェイズの菊池雄星投手(32)。
「それぞれの良さが本当にあるから飽きないですよね。なんかオークランドにはオークランドの良さがあるし、行くとこ行くとこで、何回行ってもいいなって思うから…。(選ぶのは)難しいですよね」
しばらく考えてから「例えばヤンキー・スタジアムはファンがすごいです、やじも含めて。すごいんですけど、クラウド(観衆)は多いので、そこをこう…三振取った時とかにシーンとなる感じは好きですね」
あの緊張感が好きと言えるのはさすが勝負師だな、と思っていると「やっぱりそこはピッチャーができることじゃないですか。相手がチャンス、こっちがピンチ。1点勝負とかで抑えた時にシーンとなる感じは、ヤンキー・スタジアムが一番あるかなって感じはします。だからといって別に好きかと言われたらそうでもないからな。そういう側面が好きなだけで、球場自体が一番好きなのは…」
そう言うとまた少し考え「地味にピッツバーグとか。黄色い感じで街も見えて、街がすごいきれい。ブリッジも黄色で」。パイレーツの本拠地PNCパークは、景観の美しさから選手の間で人気が高く、今回のアンケートでさらに行ってみたくなった球場の一つ。
好きな都市は「トロント」と即答だった。「バランスがいいんじゃないですかね。いいところです。結構大きい街だけど、10~20分行けば静かだし、人も優しい。ファンも熱いけど優しいみたいな感じがあるから、結構やっててやりがいを感じます」
施設についてはそこまで変わらないと言う菊池選手だが、ヤンキースだけはスタッフの動きが違うらしい。「クラビーさん(クラブハウスのスタッフ)の動きがレストランというか、ホテルのコンシェルジュみたいな感じで速いし、ホスピタリティーもある。(規律が)すごく厳しいらしいので、そこは感じます。さすがプロだと感じます」
当然、選手食堂も「ヤンキースですね、やっぱり」。今季、ブルージェイズがニューヨークへ行くのは8月。いつもより三振の瞬間が楽しみ。
☆菊池雄星(きくち・ゆうせい)1991年6月17日生まれ、32歳。岩手県盛岡市出身。左投げ左打ち。花巻東高から2009年のドラフト1位で西武に入団。17年に最多勝(16勝)と最優秀防御率(1・97)のタイトルを獲得し、18年オフにポスティングシステムでマリナーズへ移籍。21年オフにFAとなり、ブルージェイズと3年契約を締結。昨年5月のブルワーズ戦で日米通算100勝とMLB通算500奪三振を達成した。184センチ、100キロ。












