【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】果たしてMLB9年目のマエケンはどんな進化を遂げるのか。ツインズからFAとなっていた前田健太投手(35)がタイガースと2年契約を結んだ。自身にとってはメジャー3球団目の新天地となる。これまで6度の地区優勝とワールドシリーズを経験したベテラン右腕にかかる期待は、新たな本拠地デトロイトでも大きい。そんなメジャーリーガー前田の“知られざる素顔”について、青池奈津子氏が本紙企画連載「メジャーオフ通信」でつづった。

「やっぱりドジャー・スタジアムが一番好きですね。盛り上がりがすごいので投げていて声援が気持ちいい。イニング間の映像も楽しいし、音響もいいですね。ウエーブとかもすぐ起きるし、三振取った後の声援とか、ピンチを抑えた後のスタンディングオベーションとかって球場によって全然違うんですよ。やっぱりドジャースが一番大きいというか…」

 今年5月、ツインズが敵地ドジャース戦でロサンゼルス遠征に来た際、4年ぶりに前田投手と話す機会があった。

 すっかりベテランの風格だった。大リーグでのキャリアをスタートした古巣に戻ってきたのは、2020年の移籍以来。当時を知る選手やスタッフらと再会すると顔をほころばせ、喜んでいた。

 ツインズのクラブハウスは、驚いたことに規定の取材時間が過ぎても私たちメディアが追い出されることがない。この様子に目を白黒させていると「ツインズ、緩いんですよ、とっても」と笑い、こう話を続けた。

「ツインズの球場もすごい好きですけどね。街の中にあるので、確か駅と直結していたかな? ファンの人が来るには、ダウンタウンからも歩いて来られるし、利便性みたいなのはすごく(ある)。ただミネソタに行ってから気づいたんですけど、ロサンゼルスの環境って良かったんだなって。(本拠地のミネアポリスでは)春先はすごい寒い。開幕とかマイナス1度とかあるから地面が凍ってるとかいっぱいあるし、街はすごく好きなんですけど、日本食はちょっと少なかったりとか」

 前田投手の強さは、その順応性の高さではないかと思う。ツインズでの4年間は家族をロサンゼルスに残し、主にトレーナーとの生活だったため完全に「料理男子」に変身していた。

「自分で作るっていうと、ほぼほぼ鍋ですけど、パスタとか、ご飯に肉焼いたりとか。でもキャンプ中、ちょっと頑張ってコロッケ作ったり唐揚げ作ったりしました。トレーナーと一緒に作ったんですけど、コロッケとかめっちゃ面倒臭いじゃないですか。ジャガイモむいてゆでてつぶしてとかやってたら、めっちゃ時間かかって、もう一生作らないと思ったんですけど、トミー・ジョン手術(のリハビリ)中はちょっとチャレンジしました。おいしくできましたよ。だってコロッケってまずくならないでしょ、ソースかけるし!」

「所変われば品変わる」とは、まさにこのこと。まさか前田投手とアジア系スーパーで日本の鍋の素が買えることや、鍋用の薄切り肉が手に入りにくいため鶏鍋ばかり食べている日々に関して熱く語り合う時が来るとは…。余談だが、その前田投手はドジャース時代、球団シェフに頼んで登板前にそばを必ずすすっていた習慣まで変えていた。

「もう家で食べてますね、自分でゆでて。ツインズも多分言ったらやってくれるんですけど」

 きっかけはコロナ禍で選手食堂が閉まり、ケータリングの“ボックス弁当”を配られるようになったことだった。結局、自分の住居が近いことから、そのまま自炊がルーティンワークになったという。そばは毎オフにあらかじめ1年分をロスで仕入れておくが、そばつゆは「ミネアポリスでも買える」と聞いて思わず笑ってしまった。

 ミネアポリスと同様にミシガン州デトロイトも中西部で五大湖に隣接しているため、今の時期は極寒。以前は自動車産業で栄え、モータウン発祥の地であること、角型で厚みのあるデトロイトスタイルのピザなどが有名だが、近年ではまた雰囲気が変わってきているそうだ。その地で前田投手がどのようにアジャストし、快投を見せてくれるのか。今から楽しみだ。