来季も死角なし――。阪神・森下翔太外野手(23)の今季ルーキーイヤーは打率2割3分7厘、10本塁打、41打点でフィニッシュ。数字以上に勝負強さが際立つ打棒で38年ぶり日本一に貢献し、今オフの契約更改でも2200万円増の年俸3800万円(推定)の大幅アップをつかんだ。本紙評論家の伊勢孝夫氏も、確かな成長を刻んだ虎の若き長距離砲を高評価。NPB史上最多となる通算8度の打率3割を記録した名打者を引き合いに「森下が2年目のジンクスに陥ることはない」と断言した。

 見事な一発だった。若手主体の侍ジャパンの一員として臨んだ11月16日のアジアプロ野球チャンピオンシップ・台湾戦(東京ドーム)。0―0の7回に決勝のソロアーチをマークしたのが森下だった。見逃せばボールと判定されてもおかしくなかった真ん中高めへの150キロ直球をとらえて左翼席へ。ローボールヒッターの森下だが、おそらく反応で手を出したのではないだろうか。高めのコースにヘッドを立てて見事に対応した。

 打率1割台の不振に苦しんでいたシーズン開幕当初は、相手バッテリーの高め直球主体の配球に苦しみ二軍落ちも味わった。その頃の彼と比べればまるで別人のような成長ぶりだ。来季は打率2割7分、15本塁打程度は打てるのではないだろうか。若く伸びしろ十分の森下は、当然ながら阪神球団史上初となる連覇へのキーマンだ。

 彼と直接話をしたことはないが、試合後のインタビューなどを見れば、あっけらかんとした楽天的な人となりはよく伝わってくる。芯がずぶとく切り替えができるキャラクターはまさにプロ向き。俗に言う〝2年目のジンクス〟に陥ることもないだろう。

 タイプ的に言えば、私がヤクルトの打撃コーチ時代に指導した古田敦也によく似ている。彼もまた捕手という人種としては珍しく、外交的かつオープンな人間で、その日打てなくても、風呂に入ればすぐに次戦への切り替えができる選手だった。ルーキーイヤーの1990年に106試合に出場し打率2割5分を記録すると、翌91年には打率3割4分をマークし首位打者のタイトルまで獲得。来季の森下はどれだけの成長を見せてくれるのか。今から私も楽しみで仕方がない。