ソフトバンク・王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(83)が秋季キャンプ中の宮崎から、日本シリーズの熱戦を連日見守っている。

 セ・パ両リーグの覇者同士のシリーズは3勝3敗となり、決着は最終第7戦に持ち込まれた。阪神先勝で始まり、オリックスが連勝でリードを奪うも、そこから阪神が連勝して形勢逆転。追い込まれたオリックスだったが、本拠地に戻った第6戦を取って逆王手をかけるドラマチックな展開に、野球ファンのみならず注目度は増している。

 王会長は、9年連続日本一に輝いた「巨人V9」の中心選手。当時の記憶は今も鮮明だ。実力拮抗の今年の日本シリーズを見守りながら、偉大な名将の言葉がよみがえっている。

「川上さんがよく言っていたなあ。『とにかく2、4、6戦を勝てばいいんだ』ってね。だから、僕らはシリーズでそんなに固くならなかったんだよね。初戦負けても2戦目勝つ。3戦目負けても4戦目は勝つということでね。2、4、6を取れば、最後の一戦は絶対ってね。そういうふうに言うことで〝第1戦から固くならなくていいんだ〟っていうことを言いたかったんだと思うんだけどね」

現役時代の王会長と巨人監督だった川上哲治氏(1973年)
現役時代の王会長と巨人監督だった川上哲治氏(1973年)

 V9を指揮した川上哲治氏の人心掌握術を懐かしみ、勝負事の奥深さに思いを巡らせている。当時を振り返り「何度出てもシリーズには特別な緊張感があった」と回顧する。阪神とオリックス、両軍の心理状況は手に取るように分かっているはずだ。

 野球への情熱は人一倍だ。自軍は最高峰の戦いから遠ざかること3年。選手同様に悔しさをかみ締めながら、連日連夜、中継を見入っている。深まる秋に1試合だけ行われるプロ野球。いやが応でも注目を集めるが、選手冥利に尽きることを誰よりもよく知っている。

「7戦目まで来たら、本当の五分と五分。まさに決戦だからね」

 同一リーグのライバルであるオリックスが極限状態の場数を積み重ね、強さを増している。王会長の宮崎での若手育成への思いは、日に日に強まっている。