【球界こぼれ話】 先週、都内ホテルで行われたドラフト会議。言わずと知れたプロ野球選手になる第一関門で、この会議で指名されなければ実力ある選手でもプロの道は遠のく。そのためか、このところドラフト前にプロを目指す選手や関係者から各球団への「売り込み」が増加傾向にあるという。

 例えば日本ハム。昨秋、カナダ出身の山口アタル(24)がドラフト前に自らのプレー映像を球団に送付。これをきっかけに入団テストを経て見事プロ入り(育成契約)を勝ち取った。この影響もあってか、今年もドラフト前に国内外の複数選手から自らを紹介する映像などが送られてきたそうだ。
 日本ハムの大渕隆GM補佐兼スカウト部長は先日、その実情をこう話していた。

「SNSとかのダイレクトメッセージやインスタとかを通じてですが、結構(売り込みは)来ます。球団の受付や僕のところに直接来たりすることもあります。お客さま相談室への問い合わせが初めてだったと思いますが(笑い)。海外からは誰か(球団関係者)のツテを通じて入ってきますね」

 昨今は映像機器やSNSが驚異的な進化を見せている。工夫を凝らしたアピール動画を送付してくることも珍しくないようで「今の若い子は映像編集に長(た)けている。映像をうまくまとめて送ってくる子や(ボールの)回転数とかも全部映像に付けてくる人もいますから。そういう時代なんでしょうかね」(大渕スカウト部長)。

 プロ選手を頻繁に輩出する強豪校の選手であれば、スカウトの目に留まることは多い。だが、地方の無名校に所属する選手や海外在住選手の調査はスカウト網の限界もあり見過ごされがちだ。その問題を解決する意味でもこうした選手側からの球団への売り込みは、今後急速に拡大する可能性がある。球団側も埋もれた逸材や「隠し球」を発掘するためにも専用窓口を設けるなど受け入れ態勢の整備が急務だろう。

 残念ながら日本ハムは今年のドラフト会議で売り込み選手を指名することはなかったが「われわれは常に(戦力になり得る)選手を探しています」(大渕スカウト部長)。

 時代とともに進むプロ野球界。今後はセルフプロデュース選手がドラフト会議の中心になる時代が来るのかもしれない。