【森脇浩司 出逢いに感謝(3)】2014年、オリックスはソフトバンクの牙城にあと一歩まで迫った。勝率1厘差で迎えた福岡での「10・2」決戦。負ければ向こうの優勝が決まり、勝てば残り2試合あるウチに望みがつながる。緊張とやる気、おびえ、いろんなマインドがある中、試合に臨みました。
僕自身はワクワクしていました。ホークスで優勝争いをした経験は何度もありましたが、オリックスではワクワク感しかない。今日の試合はどうなるのか、自分の子供のような選手たちが変化し、よく頑張ってここまで来た。僕の采配もあるけど、選手たちが最高の舞台でどうするか。ホークスのコーチ時代の00年、巨人との日本シリーズ「ON決戦」に向かう時と同じようなワクワク感でした。
試合は2回に1点を先制され、7回に代打・原拓也のタイムリーで同点。1―1でもつれ込んだ延長10回、一死満塁のピンチから松田宣浩に左中間を破られてサヨナラで敗れた。目の前でソフトバンクナインが喜び、オリックスナインは泣いている。捕手の伊藤光はホームにうずくまって動けない。絶対に負けられない、負けて何が残るか、と言っていいくらいの究極の戦いだった。我が子同然の選手の姿を見て「よくやった…」と。
喜びに変えることができなかった自分に対する歯がゆさ、悔しさ…。そこも00年のON決戦とだぶりました。王貞治さんを連覇監督にすることができなかった時とだぶって情けなかったですね。それと「よくぞここまで…」という思いが入り交じりました。
胴上げが一通り終わり、僕は選手を連れて左翼に行き、スタンドの応援席のファンに頭を下げた。酷なことだけど、ここは僕が先頭に立っていかないと動かない状況でした。負けて申し訳ない気持ちもあるけど、ここまで応援してくれてありがとう。9割以上がホークスファンの中、少しのウチのファンの前で代表者として頭を下げ、感謝した。どういう状況でも我々がやらなきゃいけないことってある。それも1つのメンタルだし、プロ選手として欠かせないもの。行動、思考はファンあってのプロ野球だし、それはいつの時代も変わらないことなのでね。
その後にロッカーに集まり、少し落ち着いた中で労をねぎらい「リベンジの舞台はまだある。これでさらに明確になった。次の戦いの舞台はここだ。もう一度、CSで力を見せよう」と言いました。もう最後まで諦めない、というレベルの選手たちではないのでね。
優勝はかなわなかった。でもシーズンは仙台で楽天戦を2試合残していました。そこをどういうメンタルで戦うか。燃え尽き症候群じゃないけど、力を入れろと言っても難しい。でも向き合っていかないといけない。この先、あと2試合を勝てば優勝できる、という状況があるかもしれない。チームは仙台で連勝し、ソフトバンクの勝ち数を上回ってリベンジに向かった。











