【森脇浩司 出逢いに感謝(2)】5年連続Bクラスだったオリックスが最後の最後までソフトバンクと優勝争いを繰り広げました。4月、5月まで右肩上がりで「何年かぶりの勝利」というのが続いていました。最後までもつれることがオリックスにはなかったですからね。

 みんなに共通認識を持ってほしいと思って僕が選手に言ってたのは…勝負事は先手必勝。6回終わって2点差で勝っていたら「今日はいけるぞ」となる。僕がホークスにいたころ、ベースコーチとして相手チームを見ていると、最初のよーいドンではどこも勢いはある。でも終盤に劣勢ならあきらめムードを感じる。なぜそうなるか、というと序盤のミスが響いていたりするんです。こっちからしたらラッキーのようなことですね。

 実績がなく、今まで弱いならそれを認めることも大事だと思いましたね。緊張のあまり力が出せないとか言うけど、それが今の力なんです。そういう経験を生かし、準備をしていく。実体験をしていかないと人の話だけ聞いててもできない。もがくのもいい経験なんです。

 例えはよくないけど、我々は人気薄の逃げ馬だ、とにかく走るんだ。地力のあるチームはオールスターまで5割でいけば何とかなるプランは立てられるけど、俺らは悠長なことを言ってられない。向こうが調子に乗れないならチャンス。4月から突っ走る準備をしてきただろうと。もしかしたら夏場にバテてしまうかも分からない。しかし、バテるバテないより、ここ何年も途中で終わっている。それだったら突っ走るんだ、という意識が前半の勢いにつながったと思います。苦しくても監督として「試されているんだ」という意識でした。

 序盤に好調だった西勇輝が終盤に失速し、守護神の平野佳寿も疲れが出ていた。9月25日に2位ながらマジック7が点灯したものの、26日から3連敗。サヨナラ負けすると佳寿くらいキャリアがある選手でもダメージは計り知れない。気持ちを切り替えて次に進むのは難しいくらい優勝争いが一進一退となり、厳しい状況が続きました。

 オリックスは仙台で楽天に連勝し、30日には首位ソフトバンクにゲーム差なしの勝率1厘差。オリックスは残り3試合、ソフトバンクは1試合を残してマジック1。勝負の行方は10月2日の敵地・福岡での直接対決にまでもつれ込みました。

 当然ながら負ければその場で相手の優勝が決まり、勝てばまだ残り2試合に望みがつながる。「自分たちが望んできた舞台だぞ。来れたのはみんなの力だぞ」と選手に声をかけた。行くぞーという選手もいれば、おびえているような選手もいる。戦犯にはなりたくないですからそれは仕方ないし、起用してくれるなという選手もいたかもしれない。みんなが注目する試合なんだから称賛もあれば非難もされる。でも非難は一手に僕が引き受ける、ここがゴールじゃない…。いろんなメンタルがある中で試合に臨みました。