全日本プロレス春の祭典「チャンピオン・カーニバル」の優勝決定戦が7日の大田区大会で行われ、Bブロック首位の芦野祥太郎(33)がAブロック首位のG―REX王者・T―Hawkに勝って悲願の初優勝を果たした。

 試合は祭典を締めくくるにふさわしい熱戦になった。序盤から共に譲らぬ一進一退の攻防で、T―Hawkが強烈なチョップで破裂音を響かせれば、芦野もエルボーで応戦だ。中盤にはコーナーに上った芦野がT―Hawkのチョップを受けて場外に転落。これで大ダメージを負うと雪崩式ブレーンバスターで追撃されるピンチを迎えた。

 だが鬼の形相で立ち上がると打撃戦を制してラリアートで一回転させてから原爆固めでぶん投げるなど攻勢。その後月面水爆を避けられて自爆し、いったん流れを手放す場面もあったが、一瞬のスキを突いて岩石落としで叩きつけるなどして徐々にペースをつかむ。その後、相手の反撃を受けるも致命傷を許さず、走り込んできた相手の足を捕まえてアンクルロックで捕獲。しつこく絞め上げてタップを奪い、悲願の初優勝を手にした。

 2022年の入団以来、初めて全日本でのシングルタイトルを手にした芦野は、巨大なトロフィーを担ぎ上げて喜ぶ。マイクを持つと「取ったぞ。プロレスやってて、一番うれしいかも」と笑顔。続けて放送席で解説を務めていた3冠ヘビー級王者の永田裕志への挑戦を見すえ「そこにいるなら上がってこい、コノヤロー」と呼びこんだ。

 永田からは「コングラチュレーション。なかなか、素晴らしい試合をリングサイドで解説させてもらったよ。今、幸せの絶頂期らしいな。今が絶頂期ってことは、お前の絶頂期は今で終わりってことだ。この、ベルトはお前に渡さない。楽しみにしてるよ、お前との戦いを」との言葉を送られた。これを芦野は「今日はかまずにしゃべれましたね」と褒めてから「俺と試合した後、何もしゃべれなくなるまで打ちのめしてやるよ」と不敵に宣戦布告だ。

 さらに「最後に一言、いいですか」としてから「この全日本プロレスは、大きいレスラーがぶつかり合うのが良さだと分かっています。でも俺のような体の小さなレスラーが大きなレスラーを倒しにいくこともできる」と語り始める。自分と同じように体格が小さく悩みを抱える子供たちに「信念を持ってやっていけばどんな大きな相手にも勝てる!」とメッセージ。さらに「俺も、レスラーになる前もなってからも、いろんなことを言われました。ただ自分を信じてここに立ってます。だから小さい子たち、もしレスラーになりたいなら頑張ってください。全日本プロレスに入って、一緒にプロレスをやりましょう」と呼びかけて拍手を浴びた。