衝撃の急展開を生んだ〝真意〟は――。ノアの武藤敬司引退興行(21日、東京ドーム)でGHCヘビー級王者・清宮海斗(26)と対戦する、新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカ(35)が、12日のノア・エディオンアリーナ大阪第1競技場大会に電撃登場。これまで対戦拒否を貫いていたのが一転、レインメーカーで清宮をKOした上で宣戦布告まで放った。一見、支離滅裂にも見えるオカダの行動には一貫した考えがあった。
事件が起きたのはメイン終了後だった。清宮がジャック・モリスを退けV4に成功したリング上に、何とオカダが乱入。レインメーカーで清宮をKOし「ビビってるわけねえだろ! 逃げるわけねえだろ! おい清宮、試合したいんだったら『オカダさん、試合してください、お願いします』だろ、コノヤロー。東京ドーム、やってやるよ!」と言い放った。
さらにノアファンに向けて「絶望を味わわせてやるからな」と予告すると、会場からは怒号が飛び交った。
まさに急転直下だ。オカダは1月の新日本・横浜大会でのタッグ戦で清宮から顔面蹴りを食らい大乱闘を展開。シングル戦を拒絶していたにもかかわらず両団体が東京ドームでの対戦を発表すると、ボイコットまがいの発言も飛び出していた。
オカダは対戦拒否の理由として格の違いを強調し続けていたが、実はそれだけではなかった。東京ドーム大会直前の18日(日本時間19日)に行われる米サンノゼ大会でのIWGP世界王座戦開催がアナウンスされていたからだ。
結果的に11日大阪大会で鷹木信悟を下してV1に成功し、サンノゼ大会で棚橋弘至を迎え撃つことになったため、ハードスケジュールという言葉では片づけられない強行軍で清宮戦に向かうことになる。
鷹木戦前にオカダは「やっぱり会社がおかしいかなと。清宮戦の発表もそうですけど、選手のコンディションのことも、もう少し考えてほしいかなとは思いますね。他のスポーツではあり得ないじゃないですか」と、ベルトを守り続けた場合の日程に疑問を呈していた。
しかし、清宮戦を拒んだ真の理由は、決してベストコンディションを望めない不安ではなく、むしろその逆。「大阪で勝ったら米国でタイトルマッチが決まっていて、その後でまたシングルやってくださいよって。(米国大会後に)急いで帰ってくるわけじゃないですか。時差ボケもいろいろなこともある中で戦わなきゃいけないっていう…。そんな俺に負けたら、どうするんですか、清宮君。俺は彼を守ってるんですよ」と圧倒的な余裕をのぞかせていた。
そこまで絶大な自信を持つオカダが、わざわざ敵地に殴り込み、対戦を承諾。もちろんすべてが陽動作戦だった可能性もゼロではないが、本気で業界のホープである清宮を潰す決意が固まった表れと見ていいだろう。大会後のオカダは報道陣の呼びかけに応じることなく無言で会場を後にし、ただならぬ緊迫感を漂わせた。
プロレス界が生んだスーパースター・武藤の引退興行で実現するオカダと清宮の〝頂上決戦〟。対戦発表時から不穏な空気が充満していた一戦は、ここにきてさらに風雲急を告げてきた。













