【取材の裏側 現場ノート】ゴルフの全米女子アマチュア選手権で、17歳の馬場咲希(日本ウェルネス高)が日本勢では37年ぶりに優勝し大きな話題となった。次々に若き才能が登場する女子ゴルフ界の源流となったのはレジェンド宮里藍さん(37)だろう。宮里さんが10代で初挑戦したメジャーデビュー戦の姿は、今でも記者の脳裏に焼き付いている。

 2003年、高3時に国内プロツアー大会を当時の史上最年少記録となる18歳101日で制し、一躍ヒロインに。翌年、英国・サニングデールGCで行われた全英女子オープンに挑んだ。初海外、初メジャーに臨む19歳の挑戦は大きな注目を集めた。
 
 しかしメジャーの壁は厚かった。週末を迎えることなく2日目で予選落ちしてしまった。ラウンド後、宮里さんは「パットがこんなに入らないのは久しぶり。いい経験。次につながります」と気丈に話したが、すぐに父・優コーチに直訴しパット練習が始まった。

 報道陣が見守るなか、黙々と練習。もちろん他選手は誰もいない。20分、30分と時間が過ぎても一向に終わる様子がない。次第にサングラスの下から涙がポタポタとこぼれ始めた。宮里さんは一度クラブハウスに戻り、気持ちを切り替え30分後に姿を現す。再び練習を開始。さらに30分、パットを打ち込んだ。

 初挑戦の海外メジャー予選落ちは、決してめずらしいことではないはず。しかし悔しさはもちろん「もっとうまくなりたい」という思いが相当に強かったようだ。優さんは「転んでもタダでは起きないよ」とにこやかに語った。

 その後の活躍はご存じのとおりだ。あの〝涙の千本パット〟は、宮里さんが誰からも尊敬されるトップ選手になった理由を表していると思った。

(スポーツ担当・中村亜希子)