育成出身から数々のスターを生んできたソフトバンク。今年も支配下登録期限が残り1か月半となり「ネクスト育成の星」の誕生に注目が集まっている。

 ホークスには厳格な昇格基準がある。端的に言えば「即一軍戦力」。シーズン中なら支配下登録日がそのまま一軍登録日になるパターンが多い。期待値を加味して、げたを履かせての昇格はない。ゆえに登録枠に余裕があるからと言って、枠に応じた「争奪戦」が繰り広げられることもない。基準を超えられなければ、今夏の昇格選手が「0」ということもあり得る。それでも育成選手のモチベーション維持の観点から、最低一人は昇格人事を敢行したいという球団の〝本音〟もなくはない。

 育成選手たちのアピール合戦は期限の7月末まで続くが、すでに球団内で高い支持を得ている選手がいる。2020年ドラフト育成8位入団の中村亮太投手(24)。かねて東農大北海道オホーツクの先輩である周東や、絶対エース・千賀ら同僚からも一目置かれる右腕だ。150キロ超の真っすぐに、落差の大きいフォークが武器。藤本監督からの覚えもめでたく、今春開幕前のオープン戦にも一軍帯同した。ここまで二軍では24試合に登板して防御率2・38。無駄な四球が少なく、奪三振率12・71という優秀な数字が光る。

 中村亮の成長を見守る小久保二軍監督は「正直、一番安心して見られる投手。こればっかりはチーム全体の編成の問題なので、今いいからすぐにそうなるってことじゃないが、聞かれたら『十分に支配下の力がある』という答えになる」と、ファームを預かる現場責任者としての評価を明言するほどだ。千賀、甲斐、周東と代表クラスの選手を輩出してきた鷹の育成組。本格的な夏を前に中継ぎ陣の疲弊と駒不足が否めない状況だけに、網走からやってきたハングリー右腕には追い風も吹いている。