中日の根尾昂内野手(20)が11日の広島戦(マツダ)に「2番・中堅」でスタメン出場し、昨年9月の一軍デビュー以来、17打席目で待望のプロ初安打を記録した。ようやく快音を響かせたが、ここまでプロの一軍投手のレベルに苦戦したのはなぜか。その裏には母校・大阪桐蔭の憧れの先輩の存在があった。

 ついに2年目の根尾が相好を崩した。今季は4日に一軍昇格すると、ここまで5試合で10打数無安打5三振。この日は5試合ぶりのスタメン出場だった。

 6―1の9回無死一塁で迎えた第5打席にDJ・ジョンソンが投じた初球を右前にしぶとくはじき返し、プロ初安打をマーク。初回無死一塁の第1打席は空振り三振、3回二死二塁の第2打席と5回先頭の第3打席は二ゴロ、7回一死走者なしの第4打席は見逃し三振に倒れ、ずっと険しい表情のままだった。

 しかし、最後の打席でこれまで待ち望んでいた結果が出たことで、一塁ベース上で英智コーチとグータッチを交わすと思わず笑みがこぼれた。根尾は「ドラゴンズに入ってからたくさんの人にお世話になりました。その人たち全員に感謝したいです。初ヒットのボールは両親に渡すつもりです」とコメントした。与田監督は「こういったことを何かのきっかけにしてもらえればと思います」と今後についても期待を寄せた。

 ここまで根尾が苦しんだのもフルスイングにこだわり続けてきたからだ。1年目は二軍で108試合に出場して打率2割1分、三振はウエスタン・リーグワーストの127個も喫したが、当てにいくような小細工を嫌っている。

 実は根尾は同じ大阪桐蔭出身で5歳上の先輩である西武・森友哉捕手(25)をリスペクト。昨季パ・リーグMVP、首位打者に輝いた森の打法に魅せられている。球団関係者によると「根尾は、あの小さな体で豪快なフルスイングを持ち味としている森に憧れていて『今のプロ野球界で左打者のナンバーワンは森さん』と力説していた。そこを目指しているからこそ、どれだけ三振してもブレずにフルスイングを続けている。何を言われても曲げない性格で、すごく強い意志を持っている」と舌を巻く。

 そんな根尾でも心が折れそうなときは当然ある。そんなときはDREAMS COME TRUEの「大阪LOVER」を聴きながら気分転換をはかっている。チーム事情に詳しい関係者は「オフに寮に隣接する室内練習場でスマホをスピーカー状態にしてドリカムの大阪LOVERをエンドレスで流しながら打撃練習をしていたこともある」という。

 岐阜出身の根尾だが、高校時代は大阪だったことで「近そうでまだ遠いか? 大阪」「恋しくて憎らしい大阪!」という歌詞が身に染みていたのかもしれない。

 プロ初安打を放った根尾は「チャンスをモノにするだけですので、今日で終わらないように打ち続けたい」と気を引き締めているが、ドリカムの大阪LOVERで癒やされつつ、西武・森流の豪快フルスイングを今後も貫くつもりだ。