未完の大器で終わらせない。ソフトバンク・杉山一樹投手(24)が18日の西武戦(那覇)に先発して6回途中2安打2失点。2勝目はならなかったが、先発投手育成に強い信念を持つ藤本監督の思いが通じたような投球だった。完璧に封じた序盤3回の勝負球はすべて直球で、甘いゾーンでも力でねじ伏せる剛腕ぶりだった。

 入団4年目の右腕は193センチ、107キロの恵まれた体格で最速160キロを誇る。一方で制球難が大きな課題で、コントロールを意識するあまり、ストライクを欲しがって痛打を浴びる悪循環が殻を破り切れない一因となっていた。

 ポテンシャルを生かしきれない姿にもどかしさを感じつつ、なんとか大成させようと早くから「強化指定」に指名して背中を押してきたのが藤本監督だった。ターニングポイントは4月。2人だけのやりとりに覚醒のヒントはあった。「腕をしっかり振った160キロ近い真っすぐなら、真ん中にいってもそう簡単には打たれない」「いい打者でも10回のうち3回しか打てないんだから、自分の球を信じて投げるのが一番」と言い続けてきた指揮官は、杉山にこう声をかけた。

「フリー打撃で“打ってください”という110キロくらいの球を柳田が10回打って何回ヒット性の当たりがある? 絶対ミスショットがあるだろ」

 余計なことを考えすぎて小さくまとまるな――そんな強いメッセージが込められていた。最近の登板では西武・山川ら相手主軸が打ち損じを悔しがるシーンが多々見られるが、それこそが指揮官が右腕に示し、成長の糧にしてほしい感覚だった。

 千賀、石川、東浜、武田といった実績組の後に続く先発完投型の投手が育っていないホークス。藤本流の大きく伸ばす育成に注目だ。