DDT20日の両国国技館大会で、タレントのLiLiCo(51)がプロレスラーとしての活動に終止符を打った。

 LiLiCoは2015年8月DDT両国大会でデビューし、EXTREME級王座、KO―D10人タッグ王座などを獲得した。20年8月に私生活で全治10か月の「左膝蓋骨骨折」を負ったこともあり引退を決断。ラストマッチでは純烈のメンバーで夫の小田井涼平、彰人と組み男色〝ダンディ〟ディーノ、飯野〝セクシー〟雄貴、今成〝ファンタスティック〟夢人の「フェロモンズ」と対戦した。

 この日がデビュー戦となった小田井がフェロモンズに捕まりながらも、セコンドについていた純烈メンバーも加わってのトレイン攻撃で反撃。さらに一進一退の攻防からLiLiCoがディーノに自身の股を押し付けるという掟破りの卑劣攻撃も繰り出していく。

 フェロモンズの猛攻に幾度もピンチに陥ったが、小田井も体を張ってLiLiCoを守り抜く。飯野にはついに夫婦合体技「姫SEXYチェストキック♡」をさく裂させた。

 15分を超える激闘ですでにフラフラのLiLiCoは、最後の力を振り絞ってディーノにエルボーを叩き込んでいく。だが古傷の左ヒザに容赦ないローキックを浴びると、男色ドライバーでマットに真っ逆さま。これをカウント2で返す驚異の意地を見せたが、最後は膝十字固めで無念のギブアップを喫した。

 試合後のリング上でなおもフェロモンズの蛮行にあい絶体絶命の窮地に陥ったLiLiCoだが、ここで元純烈メンバーのアンドレザ・ジャイアントパンダが救出。無事に引退セレモニーが行われることになった。LiLiCoは「プロレスラーになりたくて、やっとリングに立てたのに…ずっとやりたかったんですけど、運命は違ってました。真剣に毎回戦って、みんなの応援が本当に力になりました。最高のプロレス人生でした。ありがとうございました」と涙ながらに挨拶し、10カウントゴングが鳴らされた。

 夫の小田井は「最後の試合に、パートナーに選んでくれて本当にありがとう。勝負には残念ながら負けたけど、俺は夫として内心ほっとしている部分もあって。実は膝の怪我をしたときに、もうプロレスはやれないと思ったんだけど、不屈の精神で立ち上がって、もう1回リングに上がった姿を見て本当に感動している」と妻の戦いを称賛した。「今日は純烈のメンバーも応援に来てますから、改めてここでプロポーズさせてください」と、メンバー全員で「プロポーズ」を熱唱。ともに涙を流しながら小田井と抱擁をかわしたLiLiCoは「普通の女の子に戻ります」と、コスチュームの羽根をマットに置いてリングを去った。

 プロレスラーとして活動した7年間を「一番輝いてました。好きを仕事にすることが私の生きがい。プロレス人生振り返って、街で言われることとか、プロレスのことが多かった。ずっと。ジムに行くのも楽しくて、次の試合を考えるのも楽しくて。もうすぐ52年になるなかで、プロレスラーという肩書、職業についたこの7年間は間違いなく一番オーラがありました」と振り返った。最後に隣に立っていてほしいという願いからプロレスデビューを果たした小田井も一戦限りの参戦だったことを明かし、夫婦そろって引退となった。

「未練はないです。プロレスラーLiLiCoを応援してくれてありがとうございました。もうスッキリしてます。明日から普通の女の子として生活します。ありがとうございます」。スポット参戦でリングに上がるタレントは数多くいたが、最後までプロレスと真剣に向き合い、引退試合で完全燃焼したLiLiCoは、紛れもなくプロレスラーだった。