レジェンドからの提言とは――。5月13日は不世出の名レスラー、故ジャンボ鶴田さんの命日だった。全日本プロレスのエースとして数々の怪物伝説を残し、2000年の同日に死去。前日12日にはトークイベント「ジャンボ鶴田は最強だったのか? スペシャルトーク&撮影会」が、東京・文京区のワテラスホールで開催された。

 イベントには鶴田さんの宿敵だった天龍源一郎(76)、新日本プロレスの柱だった藤波辰爾(72)の両レジェンドに加え、「永遠の最強王者 ジャンボ鶴田 完全版」の著者でプロレスライターの小佐野景浩氏が参加。鶴田さんについて、熱いトークを展開したが、来場者とのQ&Aコーナーで天龍が鶴田さんら自身の世代と、現状のプロレス界に比較について言及した。

「リングに上がって満足している人たちが多い。リングに上がるだけで全てのものがかなったとか言いながら、練習するでもなし、体を大きくすると鍛えるわけでもなし。プロレスをやっているという気持ちの張りの中で日々を送っていられるかと言ったらそれも難しいから、ポイントを下げて妥協しながら、プロレスラーだと名乗っているのが現状。俺たちの時代とその下の武藤(敬司)、三沢(光晴さん)たちの時代までがプロレスラーと名乗ってギリギリ満足していられる時代だったのかな」

 これを受けて藤波も「みんなプロレスが好きで自分なりに一生懸命やっている。でもどこかで自分の本音を出したほうがいい。危険性とか自分の我を出したほうがいいのでは」と続き、小佐野氏も「今のプロレスはビジネスという表現になって、昔みたいにバカみたいにそういうのを超えてやってしまうというところがあった。そこにみんな熱狂していたのでないか」と、世代間の違いを解説した。

トップロープからジャンボ鶴田(上)が天龍源一郎にニードロップ(1990年4月)
トップロープからジャンボ鶴田(上)が天龍源一郎にニードロップ(1990年4月)

 手厳しいとも取れる指摘。レジェントの真意はどこにあるのか。イベント後の取材に応じた天龍は、「レスラーに言いたいことは、お前たちが頑張らないと、お前たちの伸びる土壌を食い潰しちゃうよ、ということ。頑張って自分たちの土地を耕さないと、自分たちが伸びる栄養素を吸い取れない。そこを肝に銘じてプロレス界のために頑張ってほしい」と話し、ゲキの意味を込めたという。

 藤波も同じだ。「本来なら、どこの団体も頭一つ出ているなという選手がいるべき。でも団体としてはね。みんな同じ目線では面白くない。みんな上を目指してはいるだろうけれど、いい意味での欲を出してほしい。その場をうまくやり過ごすのではなく、プロレス界だけの破天荒な部分、自分の個性をもっともっと出してほしい」と強調。師匠の故アントニオ猪木さんの教えのように、キャラクターを超えた〝本音〟で戦うことを求めた。

 レジェンドの言葉は、古き良き時代からの貴重な贈り物だ。