プロレス界の新たな「10・9決戦」となるか。女子プロレス界の〝カリスマ〟長与千種(56=マーベラス)が、スターダムのワールド王座戦(9日、大阪城ホール)で激突する王者・林下詩美(23)と彩羽匠(28=マーベラス)にエールを送った。

 詩美と彩羽は先のリーグ戦「5★STAR GP」を20分フルタイムドローに終わり、王座戦は時間無制限の完全決着ルールで行われる。長与は「大阪城はいろいろな団体ができるわけじゃない。キャパに合わせてスケールのでかいことをやってほしい」と期待をかけた。

 同会場で行われた試合で、いまだに語り継がれるのが1986年8月28日の全日本女子プロレスだ。人気絶頂だったクラッシュギャルズの長与がダンプ松本と「敗者髪切りマッチ」を敢行し、丸刈り姿になったことが社会的現象になった。しかも愛弟子の彩羽はこの試合を見て、プロレスラーを志すようになったドラマもある。

 長与は「大きい会場だったとしか覚えてないんだよ。あとはお客さんの泣き声、自分の絶叫。会場のどこを見ても泣いていたなあ」と振り返りつつ、2人には「新しい伝説を見たいね。あれを超えるのではなく、塗り替えてほしい」とゲキを飛ばした。

 先日の調印式では、彩羽が王者の手を握る場面があった。長与はここで新章のスタートを感じたという。「彩羽匠が仕掛けて、林下詩美に動揺が見えた。これからつなぎ合うのか、敵に回るのか楽しみ」

 また、プロレス界の「10・9」といえば、1995年10月9日に東京ドームで開催された新日本プロレスとUWFインターナショナルの全面対抗戦がファンの記憶に残る。メインは新日本の武藤敬司対Uインターの高田延彦だった。

 長与は「例えるなら武藤敬司が林下詩美で、Uインターが彩羽って感じかな。当時はUインターが新日本を引っ張ってた時もあったでしょ」としながら「勝つのは間違いなく彩羽匠ですよ。会場で(試合後に)マイクが置かれた時、10・9の伝説が塗り替えられている」ときっぱり。注目の一戦になりそうだ。