〝完コピ〟の理由は――。16日のノア東京・日本武道館大会で〝プロレスリング・マスター〟こと武藤敬司(59)の引退ロードのトップバッターを務めるノアの清宮海斗(25)が、大一番に向けての決意を語った。対戦を前にSNSや試合で武藤の動きを披露し注目を集めているが、その目的とは何か? ノア新世代の旗手は、天才を丸のみして次なる時代の創造を目指している。
ここまでシングル戦1分け2敗といまだ勝利を収めていない大ベテランとの決戦を控え、清宮は「武藤さんとのシングルは本当にこれが最後だと思っています。だからこそ骨の髄までしゃぶらせてもらおうと思っています」と鬼気迫る表情を見せた。
武藤敬司というレジェンドの骨をしゃぶり尽くすなど、容易なことではないのは百も承知。だからこそ大マジメに取り組んでいるのが「武藤との一体化」だ。「武道館に立つ時は武藤さんと〝一心同体〟になっていたいんです。自分の中に武藤さんを入れて、それで戦えば何かがつかめるんじゃないかと思って…。一滴も残さずに武藤さんをしゃぶり尽くすにはそれしかないと思うんです」と力説する。
そのために取り組んでいるのが徹底的な武藤の研究だ。試合映像はもちろん本や過去のインタビューを読みあさっていると言い「24時間、武藤さんのことが頭にある状況です。夢にも出てきて…ほしいと思っています」。すると思わぬ変化が起きた。自らが武藤の技を出すようになったのだ。
自身のSNSで月面水爆、スペースローリングエルボー、ドラゴンスクリューにフラッシングエルボーの練習をする動画を披露。練習のみならず試合でも、10日富士大会の6人タッグ戦で閃光魔術弾を決めて勝利した。
清宮は「頭の中にある武藤さんを出しきってしまおうと思って…。今まで見るだけで出すっていうのはやっていなかった部分だって気づいたんです。それで実際にやったら一層、武藤さんの考え方や動き方を感じたんですよ」と力を込めた。
試合直前ギリギリまで、武藤敬司を研究し尽くす覚悟だという清宮は「最終的には試合に勝って、武藤さんという存在を全て飲み込みたいです」と断言。「武藤さんとの戦いで得たものを大事にしてノアを上げていきたいです。今のノアは上の世代が生き生きと試合をしている。その中で、ノアをさらに大きくするにはもう一つ流れをつくる必要があると思うんです。自分たちの世代のプロレスをつくっていかなくちゃいけないんですよ」と〝武藤イズム〟を継承し、団体をけん引するつもりだ。
未来のため、大ベテランを介錯して飲み込めるか。悲壮な決意で、方舟の超新星は武道館のリングに上がる。












