【赤坂英一 赤ペン!!】先週のDeNAは阪神に3連勝したと思ったら天敵・広島に3連敗と、一向に借金生活から抜け出せない。そんな泥沼の中にあって、地味で目立たないながらも“番長チルドレン”がそれなりにいい仕事をしている。

 まず、先発では上茶谷大河(25)。2018年ドラフト1位も1年目の7勝が自己ベストで、2年目以降は不調と故障に泣き、4年目の今年はキャンプ二軍スタート。一軍昇格後も当初の役割は中継ぎだった。

 が、主力投手陣にケガ人が続出したため、先発に復帰すると2勝1敗。16日のヤクルト戦では、91球で無失点と「マダックス」(100球以内の完封)を達成。当の上茶谷はこう言っている。

「キャンプからチャンスをつかもうとやってきた成果が出ました。新しく覚えたシュートを生かして、ストライクゾーン内での勝負ができている。シュートはオープン戦で打たれてたんですけど、(三浦)監督に『ここでやめるなよ』と言われて、ずっと取り組んできたのが良かったと思います」

 この上茶谷、打撃にもこだわりを持っていて、「現役選手の8割ぐらいは打ち方をマネできる」と言う。完封した試合でも巨人・坂本のモノマネで東洋大の先輩ヤクルト・原からヒットを打った。23日の広島戦は6失点で敗れたが、5回までは粘り強く投げて試合をつくった。投打ともに次回の雪辱に期待したい。

 リリーフ陣でも番長の教え子たちが続々台頭中だ。19日にはベテラン田中健二朗(32)が中継ぎで4年ぶりに白星を挙げた。19年に左ヒジのトミー・ジョン手術を受け、同年オフから昨年6月まで育成契約だった苦労人。「ボールが多かったけど抑えられてよかった」というコメントに実感がこもっていた。

 その田中健からバトンをつないだ若手が2年目の入江大生(23)、3年目の伊勢大夢(24)。入江は20年ドラフト1位で明大から入団し、1年目から開幕ローテに入るも4戦4敗で二軍落ち。右ヒジのクリーニング手術を受け、未勝利に終わった。伊勢は昨季終盤、抑えに抜てきされながら2度失敗。そんな挫折を味わった2人が、今季は中継ぎでしっかり試合をつくっている。

 22日の阪神戦でプロ初勝利を挙げた2年目の池谷蒼太(23)も、1年目の昨季はクイックモーションができなかった。それぞれに弱点や課題を克服して戦い続けている番長チルドレン、地味でも今後が楽しみな好材料だと強調しておきたい。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。