崩壊に近い。フィリーズは22日(日本時間23日)、敵地リグリー・フィールドでのカブス戦に2―7で敗れ、連敗は8に伸びた。開幕から黒星地獄にあえぐチームの星勘定は8勝16敗まで落ち込み、同日に本拠地でツインズを3―2で下して12連敗を止めたメッツと並ぶナ・リーグ東地区最下位タイ。シーズンはまだ4月だが、名門の失速はもはや「一時的な不調」の一言では片付けにくい。

 昨季はポストシーズンでドジャースに敗れたものの、2年連続で地区優勝。今季も3年連続の地区V最有力候補に挙げられていた開幕前の期待値を思えば、なおさら深刻だ。

 その惨状に追い打ちをかけたのが、同日に腰のけいれんのため10日間の負傷者リスト(IL)入りとなったJ.T.リアルミュート捕手(35)の離脱だ。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が「さらなる打撃」と詳報したのも、決してオーバーな表現ではない。

 リアルミュートは今季ここまで17試合で打率2割5分9厘、出塁率3割4分4厘、長打率3割5分2厘。フィリーズ在籍8年でIL入りはまだ3度目というタフな正捕手だが、背中や脚に慢性的な不安を抱えながらプレーしていた。カイル・シュワバー外野手(33)、ブライス・ハーパー内野手(33)に次ぐ数少ない計算の立つ右打者だっただけに、打線への痛手は小さくない。

 穴埋め役も心もとない。ラファエル・マルチャン捕手(27)は今季31打数2安打で打率6分5厘。昇格したギャレット・スタッブス捕手(32)は3Aで打率2割8分9厘、出塁率4割1分3厘、長打率6割3分2厘と結果を残しているものの、沈み込むフィリーズ打線を一気に救う切り札とは言い難い。

 前出のジ・アスレチックによれば、シュワバーとハーパー以外の野手は同日時点で合計打率2割1分1厘、OPS5割8分6厘という深刻な水準。ロブ・トムソン監督(62)が打線の組み替えに苦心しても、打つ手は限られている。

 メッツがようやく長いトンネルを抜けた日に、フィリーズは正捕手まで失った。最下位転落の絵柄として、これ以上ないほど分かりやすい。リアルミュートのIL入りは、低迷するクラブの「現在」ではない。底がなお見えないことを示す、新たな警報そのものだろう。昨年の地区シリーズで敗れたドジャースへ今季は雪辱を誓っていたはずだが、チーム内外から「そのリベンジは一体どこへ」との声が広がる事態となっている。