オリックス・山本由伸投手(22)の評価が米メジャーで急騰している。侍ジャパンにも選出されている右腕は現在、防御率や最多勝争いを続けるなど好調を維持するが、米球界が山本に熱視線を注ぐのは日本での活躍だけではない。現在、米メジャーを席巻するエンゼルス・大谷翔平投手(26)やレッドソックス・澤村拓一投手(33)の存在。さらには残り1か月を切った東京五輪での役割が評価をうなぎのぼりにしているというのだが――。

「彼が今オフにでもメジャー挑戦すれば、年俸ベースで軽く5億円を超える契約を結べるはず。東京五輪での活躍次第では年俸10億円も夢ではない。それぐらい彼の評価は現地で高まっていますよ」

 こう話すのが米メジャーでスカウト経験もあるパの編成担当の一人。「彼」とは現在、パ・リーグ首位チームをけん引するオリックス・山本のことだ。

 侍ジャパンでも中心選手の一人として期待される22歳は今季がプロ5年目。海外FA権を取得するには今後順調でも5年以上はかかる。にも関わらず、米メジャー関係者の間で早くも熾烈な獲得調査が繰り広げられている。背景には本人の好調ぶりに加え「現在二刀流で米球界を席巻する大谷とレッドソックスで予想以上の好投を続ける澤村の存在が大きい」と冒頭の編成担当が続ける。

「大谷が二刀流で米球界を席巻しているおかげで、メジャーの中堅以上の球団がこれまで以上に日本の投手獲得に興味を示し始めているのです。そこに地味ではあるのですが澤村の昨今の好投もある。澤村は150キロ超の直球とスプリットを多投する投手で山本とは同タイプ。その澤村より山本は若くて制球もいいと評判ですから。各球団が今から獲得を模索するのも当然と言えば当然でしょう」

 そんな山本の評価をさらに高めそうな舞台が今夏の東京五輪。現時点で先発を担うか救援に回るかは定かではない。それでも「両方できる」起用さがメジャー各球団の食指を動かす可能性が高い。

「大谷の二刀流には及ばないが、投手として先発も抑えも可能であれば起用法の幅は広がる。五輪という大舞台でその辺りの確認もできますから。山本にとってもメジャーにアピールする絶好のチャンスになる」(前出編成担当)

 本人にメジャー志向があるとはいえ、現段階で山本はポスティングシステムを利用しての移籍しか海外移籍は実現できない。所属するオリックスも簡単にはエースを手放さないはずだ。それでも仮にこのままチームが1996年以来のリーグ優勝、日本一を果たせば今季の「功績」を置き土産に移籍が現実味を帯びることも考えられる。

 2日の西武戦でも7回を投げ5安打2失点の好投でリーグトップに並ぶ8勝目を挙げ「調子自体も悪くなかったと思いますし、チームが先取点を取ってくれていたので、絶対にリードを守ろうと思って投げていました。3回、7回と失点してしまいましたが、なんとかリードを守って、リリーフ陣につなぐことができたところはよかったと思います」と語った。

 防御率1・94は同僚の宮城に次ぐ2位、奪三振争いでは断トツの首位を走る山本。いろいろな意味で今夏は脚光を浴びそうだ。