プロ野球開幕延期 日本シリーズ禁断の「12月開催プラン」浮上

2020年03月10日 14時00分

会見に出席した斉藤コミッショナー(中)ら

 プロ野球が年末に見られる? 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本野球機構(NPB)は9日に都内で12球団臨時代表者会議を開き、20日に予定されていたセ・パ同時開幕の延期を全会一致で決定した。斉藤惇コミッショナー(80)は「遅くとも4月中に開幕できることを目指したい」と意欲を示し、12球団はあらゆる手段を尽くした日程調整に本格着手。公式戦143試合を完走するため、禁断の「12月開催プラン」も浮上していることが分かった。

 球界は現実を淡々と受け入れた。9日午前に、都内でNPBがJリーグと共同設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第2回会議が開かれ、感染症学の専門家チームから20日の開幕について「延期が望ましい」との助言を受けた。これを受けてNPBは午後から代表者会議を開いて対応を協議。今月中の公式戦開催を断念し、4月中の開幕へ向けて準備を進めることで一致した。斉藤コミッショナーは会見で「現状、患者がどんどん増えている。20日に開催するには時間がない」と準備、環境の両面が整っていないことを延期決断の理由に挙げた。延期の期間は未定だが「球団側からは、準備があるので開幕する10日前までには決めてほしいと言われている」と話した。

 新たな日程については専門家チームの答申を得て12日の代表者会議で改めて話し合われるが、すでに本紙も報じた通り、タイトな日程を乗り切るためのプランはいくつか浮上している。斉藤コミッショナーは「延ばすところを延ばす、カットするところはカットする話になる」と話したが、この日もCSの中止や日本シリーズの日程変更、ダブルヘッダー導入や五輪期間中の公式戦開催の可否など「あらゆる可能性について」幅広く議論されたという。

 12球団は何よりも公式戦の全試合開催を目指すことで一致している。中日・加藤球団代表は「143試合を開催するために何を削れるか。CS、日本シリーズをどうしましょうかというのは出てくる。CSはやりたいが、日程的にできるのか。まずは143試合を通常開催することが重要」とした。また無観客試合に関しては「従業員を揃えた飲食店が、シャッターを下ろして営業するようなもの。あり得ない」(パ球団代表者)と大半の球団が一蹴した。

 関係者の話を総合すると、新たな開幕は最短でJリーグと同じ4月3日を想定。状況によって中旬、月末となった場合についても方策を協議している。ただし4月中旬以降にズレ込んだ場合はCSや球宴の中止、ダブルヘッダーだけでは消化できない可能性が高まってくるという。

 そこで12球団内からはこんな声も。広島・鈴木球団本部長は「最悪の時はどう日程を組むか、そんなこともシミュレーションした。12月まで選手会はやってくれるか、とかね。3・11(2011年の東日本大震災による延期)のとき、新井君(貴浩=当時プロ野球選手会長)は『12月末までやります』って言ってくれた」と9年前を振り返った。

 選手は球団と毎年2月から11月末までの支配下選手契約を結んでいる。12、1月は拘束期間外。選手会がウンと言わないことには球団やNPB主催の試合開催はできない。ただ公式戦が消化できずに球団が収入面で大打撃を受ければ、選手の来季契約交渉に影響が及ぶことは想像がつく。中日・加藤球団代表も「個人的には12月までやったっていいのではと思う。選手会が反対するかもしれないが、そんなことを言っている場合ではないのでは」と私見を述べた。

 現状の日程では11月15日に日本シリーズの最終第7戦が設定されている。今回の延期期間が予想以上に長期化し、1か月以上に及んだ場合には、まさかの“クリスマス・シリーズ”や“大みそか決戦”の可能性もあり得るということなのか…。いずれにせよ、異例の日程消化に選手たちの協力は不可欠。今後は選手会の動きも気になるところだ。

【2011年は11月20日に終了】今年の日本シリーズは当初、例年より2週間ほど遅い11月7日に開幕し、第7戦までもつれ込めば同15日となる予定だった。

 東日本大震災の影響で開幕が4月12日に遅れた2011年は、日本シリーズ終了が11月20日。秋山監督率いるソフトバンクが、落合監督の中日を4勝3敗で破り、日本一に輝いた。全戦ドーム球場で行われたこの年が、史上2番目に遅い日本シリーズで、最も遅いのは毎日が松竹を破った1950年のシリーズ。11月28日に決着している。

 日本シリーズが年末開催となれば、気候的に密閉された空間で一定の温度が保たれるドーム球場での限定開催となりそう。2013年には、仙台のKスタ宮城(現楽天生命パーク)で11月3日に楽天が日本一を決めているが、東北地方の屋外球場での12月開催は難しそうだ。