日本一奪還を狙う原・巨人に早くも“丸コーチ効果”が出ている。2月1日からの宮崎春季キャンプで丸佳浩外野手(30)は坂本、炭谷、亀井とともに「S(スペシャル)班」として第3クール初日(2月11日)まで二軍での独自調整が認められた。阿部二軍監督からはコーチ兼任の役割も期待されているが、一足早く「弟子入り」した2年目・山下航汰外野手(19)がその指導ぶりを絶賛している。

 年明けから川崎市内のジャイアンツ球場で丸と自主トレを行っている山下は「ものすごく勉強になります」と息を弾ませる。練習ではひたすら打撃マシンのスローボールを打ち返す。「練習にこだわりがあって奥が深い。『スイングすべてに意味がある』と教わりました」と目を輝かせた。

 塾生第1号となった山下は昨季、育成新人から支配下に上がるとイースタン・リーグで3割3分2厘をマークし首位打者となった期待株。高卒1年目でファームの首位打者を獲得したのはイチロー以来27年ぶりの快挙で、丸も「能力もある。あとはそれをいかに一軍で出せるか」と快く受け入れた。

 2年連続リーグMVP(2017、18年)の「左打者の完成形」から技術として「主にボールの待ち方を教わっています」(山下)。マシン打撃中も左手で後ろのネットを持たせ右手でバットを振らせるなどきめ細かく指導する。「体重移動とか今までの自分の考えとは違う考え方。目が覚めました」と山下は振り返った。

 ウエートルームでも衝撃を受けた。「丸さんから『自分が(山下と同じ)19歳のころは200キロ超のバーベルスクワットを徹底的にやった』と聞いて驚きました。自分は160キロが最高で回数もそんなにできない。しっかりとした筋力の裏付けがあってそこに技術が加わっている。もっと練習しないと」。実体験を聞くことで今の自分に必要なことが具体的に分かったという。

 もちろん「打者は一人ひとりが違う」と丸自身がくぎを刺すように、山下も「コーチから教わっていることもありますし、取捨選択するようにしています」と“丸のみ”はしない。阿部二軍監督が求める「自分で考えられる選手」への第一歩を踏み出した。

 その阿部二軍監督は丸らS班に「いい教材だし(若手は)見て聞かない限り得られない」と生きたお手本として期待を寄せる。

 春季キャンプで多くのヤングGが山下と同じ経験ができれば、首脳陣が目指すチーム力の底上げに直結するだろう。