MLBがコロナで収入大打撃の危機 菅野、千賀、山崎らメジャー予備軍どうなる?

2020年04月11日 16時30分

菅野智之

 世界のスポーツイベントに大打撃を与えている新型コロナウイルスがメジャー挑戦を目指そうとしている日本人選手の決断にも暗い影を落としそうだ。2001年9月11日、米同時多発テロの時には米国の国民的娯楽「ベースボール」の再開が米国民を団結させ平穏な日常を取り戻す象徴となったが、今回の敵であるウイルスとの戦いはまったく先が見通せない。早ければ今オフにも移籍の可能性がある巨人・菅野智之投手(30)らに与える影響は――。

 現在、公式戦開幕を延期し活動停止中のMLBは選手会とともに善後策を検討中。全30球団をアリゾナ州フェニックス近辺に集結させ5月にキャンプを再開、数週間後に2020年のレギュラーシーズンを当地で、無観客の状態で開催する計画が話し合われている。

 米国ならではの実験的な有事対応策だが、一方で一部メディア関係者からは「球団首脳、プレーヤーの中には今季のシーズン開幕は不可能とあきらめている人間も多くいる。アリゾナ開催案はあくまで世論の反応を見るためのトライアル・バルーン(観測気球)という思惑が強い」と疑問視されている。ホットスポットとなるニューヨークを中心に現在進行形で全米各地に感染拡大が広がるさなか、浮上してきたシーズン代替案に冷めた声も上がっている。

 経済、文化の中心地ニューヨークで死者が医療現場のキャパシティーを超え、テント張りの臨時遺体安置所が街中に設置される戦場のような現状で5月中のキャンプ再開は現実的とは言えない。かといって、シーズン開始のメドを7月や8月にずらせば、日中の気温が40度を超えるアリゾナの灼熱の気候問題、消化試合数の問題、またシーズンを11月、12月まで延ばせば来シーズンにも影響を及ぼしかねない選手のコンディション面の問題が発生し、日程面での調整は難しい。

 そんな現実を見据え、MLBと選手会はすでに今季の年俸支払いは「試合数に比例する」との合意を取り付けている。そして、最悪シーズンが行われない場合には「球団が各選手年俸の4%を保証することで訴訟は起こさない」旨、合意している。

 当然、試合がなければ球団は収入面で大打撃を覚悟しなければならない。それはシーズンオフの補強予算縮小にも直結してくる。影響を受けてくるのは今オフ以降に、それぞれの思惑でメジャー移籍の可能性を探る日本人プレーヤーたちだ。巨人・菅野、DeNA・山崎康晃投手(27)、日本ハム・有原航平投手(27)、西川遥輝外野手(27)、ソフトバンク・千賀滉大投手(27)らの道が狭められる可能性が出てくるということだ。

 日米球界に詳しいメジャー関係者は「各球団が配置しているスカウトはここ数年で、移籍が予想される対象選手を調査してきている。本人たちの希望がかない、交渉の扉が開けばこれまで通り(獲得の)動きは出てくるが、その状況は一変しているかもしれない」としながら、新型コロナウイルス感染後の米国の状況をこう予測する。

「そもそもの収入減が予想され予算を縮小するであろう球団から、選手が満足のいく契約を結べるのかどうかが一点。そして、現時点で失業保険給付を求める申請者の数が1000万件を超える状況の中で不景気が始まり今後、各地で治安が悪化してくる懸念がある。特に歴史的、人口比率的にも人種問題が起きやすい南部ではウイルスの発生源と信じられている中国とその周辺の東アジア人を同一視したヘイト、差別が始まっていると用心するべき。米国が銃社会である以上、家族がいる場合は余計慎重に移籍先の地域性まで考慮する必要性が出てくるかもしれない」

 野球環境以外の部分で強い不安定要素が懸念される今後の米国。今季、メジャー移籍を果たしたレイズ・筒香、レッズ・秋山、ブルージェイズ・山口のルーキー3人のデビューすら宙に浮いた状況の中でMLBを目指す日本人選手には無視できない障害が発生し始めている。