ツインズのミッチ・ガーバー捕手 本当は譲りたくなかった背番号「18」マエケンの“しかるべきお礼”どうなる

2020年03月07日 11時00分

昨季は18番を背負って31本塁打と活躍したガーバー(ロイター=USA TODAY)

【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】「ミッチは、本当は譲りたくなかったんだよ」

 ツインズに移籍した前田健太投手に背番号18を譲ったミッチ・ガーバーの本音を、フレンドリーな球団広報ダスティン・モースが何げなく教えてくれた。

 ミッチは「僕は番号自体にはこだわりがなかったし、いろいろ調べたらケンタにとって大事な番号だって分かったから」と、あっさりした感じで話したが、彼には彼の“背番号物語”がある。「最初が43。欲しいってやつがいて23にしたら、ネルソン・クルーズが来て18にしたら、ケンタに譲ることになった。気がついたらどんどん数字が減って、ついに8番だよ(笑い)」

 広報のダスティンによれば、前田のトレード話が出た際、最初に決めなければならなかったのが背番号だったという。タイミング的にスプリングトレーニングが始まる直前で、グッズやプログラム、メディアガイド、宣伝写真などを発注する時期だったため、前田に連絡して希望を聞いたそうだ。「そのとき、日本のエースにとっての18番の重さを知ったんだけど、ミッチは悩んでいた。昨年は18番をつけて初めてシルバースラッガーを受賞したからね」(ダスティン)。ゲン担ぎは誰だってする。即答できなくて当然だ。

 ダスティンが続ける。「移籍交渉が難航したおかげというか、ミッチ自身が番号の意味を調べたりして、移籍決定前には番号を譲りたいって彼自身が言ってきたんだよ。ケンタもとても丁重な対応で、無理強いはしてほしくないが、譲ってくれたら、しかるべきお礼をするから、と」

 ところで“しかるべきお礼”とは?「通常、ロレックスを贈るらしい」。誰かがそんなことを言っていた。背番号のお礼に高級時計――。そんな世界もあるのだな…と調べてみたら、2011年にはエイドリアン・ベルトレが29番を譲ってくれたフリオ・ボーボンにロレックス、1997年にはロジャー・クレメンスが21番と引き換えにロレックスと現金1万5000ドル(約180万円)をカルロス・デルガドにお礼した話などが出てきた。

 お礼が時計とは限らない。03年にはトム・グラビンが47番を譲ってくれたジョー・マクユーイングと話し合い、ベビーナーサリー(育児室)費用を出すことにした。12年のダニエル・マッカチェンは34番を譲る代わりに何がいいかとAJバーネットに聞かれ、その年の5月に生まれる娘さんのための大学進学資金のファンドへの投資をしてもらった話は業界でもナイスアイデアとして称賛された。実際の金額は公開されていないが、娘さんが大学に進学するころには少なくともロレックス以上の価値になっていることだろう。

 時代とともに金額もアイデアもだいぶ変わってきているが、91年、フィリーズのミッチ・ウィリアムズが28番のお礼としてジョン・カークにビール2ケースを送った話があった。面白いところは、当時の奥さんが希望した数字だったそうで、離婚後にウィリアムズは99番に変更している。

 同じチームで背番号を変えると、球団に自分のグッズを買い取らされるため変えなかったという話は妙に納得で、背番号を巡る様々なストーリーがあることを改めて実感した。決してプレッシャーを与えるつもりはないが、マエケンがミッチに何を贈るのか、興味津々な今日このごろなのである。

 ☆ミッチ・ガーバー 1991年1月15日生まれ。ニューメキシコ州出身。右投げ右打ち。2013年のMLBドラフトでツインズに9巡目(全体260位)指名されてプロ入り。17年8月19日のダイヤモンドバックス戦でメジャーデビュー。18年は正捕手として起用され、103試合に出場して打率2割6分8厘、7本塁打、45打点。昨年は出場93試合ながら31本塁打でシルバースラッガー賞を受賞した。17年のメジャー昇格から毎年背番号が変わっており、今季は8番を背負う。