【夏の甲子園】コロナ禍でも五輪は強行 現場に渦巻く「なぜ高校野球ばかりがヤリ玉に」の思い

2021年08月18日 05時15分

コロナ禍に加え、日程問題も大会継続に重くのしかかっている
コロナ禍に加え、日程問題も大会継続に重くのしかかっている

 現場からは「怒り」も渦巻く。第103回全国高校野球選手権の大会本部は17日にオンライン会見を行い、選手らから新型コロナウイルスの感染が判明した宮崎商(宮崎)と東北学院(宮城)の出場辞退を発表。センバツを含め開幕後の辞退は史上初のケースだけに、衝撃が広がっている。連日の悪天候で順延が相次ぐ背景もあり「大会打ち切り」の声まで出る中、出場校からは東京五輪・パラリンピックへの恨み節も飛び出している。


 あまりにもやるせない。宮崎商の新型コロナウイルス陽性者は医療機関の検査によって13人にまで広がり、保健所から濃厚接触者が8人と判定され、大会本部側も同校について「集団感染」の症例と判断。この日朝に宮崎商の学校長から出場辞退の連絡が入ったという。同校の初戦は大会7日目(19日)の第1試合で智弁和歌山(和歌山)との2回戦が予定されていたが、これにより智弁和歌山の不戦勝が決まった。不戦勝、不戦敗は大会史上初めてで、出場回数はカウントされる。

 ドタバタは続く。宮崎商に関する会見終了から約4時間後の午後7時半過ぎになって大会本部は再び会見を開き、東北学院(宮城)の辞退も発表。同校は初戦を勝ち抜いた後、選手1人が陽性となり、他の4人も濃厚接触者となっていた。大会本部側は当初「個別感染」の症例として東北学院の次戦(21日の2回戦・対松商学園)を容認する方向性を示していた。しかし、学校側が「試合に出場することによって当事者が特定される恐れがあり、生徒の将来に影響を及ぼす可能性がある」として同日午後6時過ぎに辞退を申し入れ、宮崎商同様に次戦は不戦敗扱いとなった。

 今大会では開幕前のケースを含めると作新学院(栃木)も部員3人の感染が確認(大会本部側は「個別感染」と判断して出場を容認)されており、すでに3校が〝コロナショック〟に見舞われている。会見では「大会の打ち切りは考えていないのか」との厳しい質問も出たが、日本高野連・八田会長は「まだ過程の質問なのでなかなかお答えすることはできないが、私どもとしては大会の最後まで続けられるよう、感染対策を強化して新たな集団感染がおきないようにしたいと思っている」と強調した。

 しかし、強い意気込みを示す大会本部側も、厳しい現実と向き合わなければならない。コロナに加え、もう1つのネックが日程問題。この日も第2試合以降の3試合が降雨のため、翌18日に順延。今大会は異例の悪天候続きで、日程再編を連日強いられている。

 全日程消化も危ぶまれる中、高校球界内では「この先も順延が繰り返され、リスケジュールもどうにもならないとなったら大会本部も〝取りやめ〟を決断せざるを得なくなるのではないか」「ここまで雨ばかりで、狭い室内練習場での練習が続いていることから『密』になる時間も予定より大幅に増え、知らない間に実は各チームの感染リスクも高まっているのでは」といった〝悪天候&コロナ〟ダブルパンチへの懸念も広がっている。

 しかも政府は17日に、新たに緊急事態宣言の対象地域に甲子園球場のある兵庫も加え、今月20日から発令することを決めた。宣言発令地域への不要不急の移動は控える観点から、現時点で各出場校に認められている応援団や親族等の観戦も見直しを迫られる可能性が高まっている。

 ここまで難題続きであれば「打ち切り」を迫られるのも無理はないかもしれない。それでも大会に出場している学校関係者の間には「なぜ高校野球ばかりがヤリ玉に挙げられるのか」という思いも漂っている。

 緊急事態宣言下の今月8日に東京五輪が閉幕、パラリンピックは24日から開幕を迎える。高野連関係者は「東京五輪はアスリートから感染者が出たのに打ち切りが一度も議論されず、パラリンピックも国内の感染者が過去最多を更新しているのに強行開催される。高校野球だけ〝標的〟にされるのは私の目から見てもおかしい。そういう不満は実際に出場している学校関係者の間からも出ている」と嘆く。

 果たして今夏の甲子園は無事に決勝戦を迎えられるのだろうか。

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