巨人がドラマチックに男の花道を飾った。28日のDeNA戦(東京ドーム)は長野久義外野手(33)がサヨナラ弾を放って1―0で劇的勝利。CS進出をかけたライバルとの大一番を制し、3位に再浮上した。横浜、巨人で活躍した村田修一氏(37=前BC栃木)の引退セレモニーが催された試合で最後に勝負を決めたのは“男魂”を継承する背番号7だった。
大好きな先輩へ、ありったけの思いを込めた一発だった。0―0の9回一死、長野が砂田の投じた2球目のフォークを捉えると、打球は左翼席最前列へ吸い込まれた。歓喜の輪が解けると、お立ち台に上がった背番号7は「村田さん、見てますか~!」と叫んだ。
長野にとって、この日はCS進出がかかった一戦ということに加えて特別な試合だった。引退セレモニーに来場した村田氏は同じ九州北部出身で日大の先輩後輩という間柄。巨人在籍時は常に自分の盾になってくれた。不器用でこわもての先輩と、愛され上手なジェントルマン。キャラは違うがとにかく気が合った。この日は村田氏が巨人時代に使用していた登場曲「Sugar」を流して4打席に立った。試合後の囲み取材で「修さんが見ているのを忘れていました」と舌を出したが、それは照れ隠しだ。
打撃不振だった2014年、長野は当時の原監督に打順を9番まで下げられた。暴れたいほどの心境だったが、実はその前年、村田氏も9番を打っていた。「修さんはそういう状況を自分の力ではね返しましたから。そういうところは見習わないといけない」。プロとして、先輩の背中をずっと追ってきた。
村田氏が「男」と呼ばれた理由の一つに体の強さがある。「たとえ骨が折れていても、レントゲンを撮らなければ誰も分からない。試合に出られるか、出られないかを決めるのは自分。どこかが痛くてもチームに貢献できる自信があるなら、俺は出る」と話していた。
実は長野も今、その思いで戦っている。古傷の右ヒザ痛を抱えながら出場していた先月30日の広島戦で新たな箇所を傷め、翌31日に4年ぶりに出場選手登録を抹消された。9月16日の中日戦から一軍復帰したが、傷はまだ癒えていない。チームスタッフが明かす。
「発表では背筋痛ということになっていますが、実際は肉離れだったようです。本当はあんなスピードで一軍に戻れるわけがない。それでも『何かあっても自分の責任ですから』と聞かないのが長野。村田と同じで『主力はグラウンドに立ち続けないといけない』というこだわりが強いんです」
敗れていればCS進出が限りなく厳しくなっていた一戦を制し、チームは3位に復帰した。由伸監督は「重い展開でしたけど、みんな我慢強く戦ってくれた」とナインの奮闘に感謝し、殊勲の背番号7を「最初の打席で打ってほしかったが、最後の最後で取り返してくれた。村田への思い? そういうのもあったんじゃないかな」とたたえた。
村田氏は現役に別れを告げたが、巨人にはまだ“男・長野”がいる。












