広島の補強・編成方針も、ひとつの〝限界〟を迎えつつあるのかもしれない。今オフは主力選手が相次いでFA権行使を表明し、大量流出の危機に直面している。

 6日には今季チーム最多の8勝を挙げた左腕・床田寛樹投手(31)が権利行使を表明。4日の森下暢仁投手(29)、5日の坂倉将吾捕手(28)に続き、3日連続で主力3人がFA宣言する異例の事態となった。球団は宣言残留を認めているものの、3人全員が国内の他球団に移籍すれば、FA制度導入以来初となる。

 もちろん、FA権は選手の権利。球団は残留を要請できても、強制はできない。プロである以上、条件面も含めてより良い環境を求めるのは至極当然であり、責めることも、とがめることもできない。

 一方で、広島はFA制度導入以降、他球団のFA選手獲得にはほとんど動いてこなかった。2010年オフに横浜(現DeNA)からFA宣言した内川聖一の獲得に乗り出したものの、最終的にソフトバンクへ移籍。それ以降、FA争奪戦に参戦した形跡はなく、広島にとっては「選手が出ていくだけの制度」となっている。球団内からも「そろそろ考え方を改めるべき」という声が出始めている。

 来季、新井監督は就任5年目を迎える。この間も23年に西川龍馬外野手、24年に九里亜蓮投手がFAでオリックスに移籍。鯉将は限られた戦力でやり繰りしてきたが、一度のオフで3人の主力を失うとなれば、さすがに厳しい。森下と床田がFA権を行使し、来季の先発陣に不安が広がる中、球団は6日、ソフトバンクから東浜巨投手(36)を無償トレードで獲得したと発表した。

 だが、急場しのぎの補強策だけでは、常勝軍団と呼ばれるチーム作りは夢のまた夢だ。2010年代には広島と同様、FA補強に積極的でなかった日本ハムや西武も現在は補強手段としてFAを活用している。

 ある球団関係者は「もう『FA選手を獲りに行かない』というスタンスは…。出て行かれる以上、組織としても、今後はFA選手を獲りに行くことは必要。それがないから組織が年々、弱体化する」と悲壮感を漂わせる。FA補強に必要な資金の確保と、それを支える収益基盤の強化も急務となる。

 抜本的な改革なしに、広島の上位浮上を望むのは難しい。そう言わざるを得ないのが現状だ。