頭脳派左腕が導き出す〝答え〟とは――。ヤクルトの昨年ドラフト4位・増居翔太投手(26)はプロ1年目の今季、8試合に登板して1勝2敗、防御率3・16。「逃げてばっかりとかではなく、今の自分ができる形で打者と勝負してダメだった感じなので、通用しなかった部分もありますけど、落ち着いて投げられたのはよかった」と手応えを口にした。

 一方、課題は決め球だ。「球威が足りないと遅い変化球などを生かしきれない」と分析。「キャッチボールなど普段の練習から何かつかめるようにやっていきたい」と成長の糸口を探る。

彦根東時代は甲子園にも出場した増居翔太(2018年)
彦根東時代は甲子園にも出場した増居翔太(2018年)

 進学校・彦根東高から慶大に進んだ秀才左腕は、登板後も投球を冷静かつ論理的に振り返る。その裏には〝対自分〟と〝対相手〟の視点を使い分ける思考術がある。「やっぱり結果が何より欲しいのが一軍。試合は自分との勝負ではないので、自分のテーマというよりは、相手を見て〝こういう攻め方をできたらいいな〟っていうイメージを持って。自分がやりたいことはファームか練習、もしくは少し余裕のある展開で試すという感じ」。実戦と課題克服の場を明確に分けている。

 捕手のサインに首を振らないことにも理由がある。「キャッチャーのほうが打者を冷静に見ていると思う。よっぽど自分の感覚と違わなければ、基本的にはうなずいて、どういう意図か考えてくみ取って投げるようにしています」。自分の感覚に固執しない柔軟性も武器だ。

 チームには今季先発の核となった山野、奥川に加え、吉村、高橋、松本健、高梨、中村優ら先発候補がそろうが、左腕は山野、高橋、増居の3人。今秋のドラフト上位4人も野手で、目立った補強の動きもない。左の先発陣の底上げが課題となる中、増居は5年ぶりのリーグ制覇へ救世主となれるか。