虎がまた土壇場で勝負をひっくり返した。阪神は19日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)で延長10回に劇的な2試合連続のサヨナラ勝ち。敗れた2位・巨人とのゲーム差を「4」に広げた。その熱戦に最後の一撃を加えたのが、大山悠輔内野手(31)だった。

 1点を追う9回、先頭の森下が中前打で出塁すると、代走に植田。足のスペシャリストは続く佐藤の3球目に二盗を決め、敵失も絡んで無死三塁と好機を拡大した。流れが一気に虎へ傾く中、4番・佐藤が右前へ同点適時打を放ち、土壇場で試合を振り出しに戻した。

 延長10回は近本がこの日3安打目となる中前打を放つなど好機をつくり、ヤクルトは満塁策を選択。ここで大山は星の2球目、外角高めの直球をきっちり左犠飛とし、試合を決めた。

「僕、勝負になるだろうなという準備はしていた。あそこで決めるつもりで打席に入りました」。浮き足立つはずもない。頭の中では勝負のシミュレーションができていた。前夜18日はサヨナラ本塁打。この日も2夜連続で水を浴び、「しんどいゲームが続きますけど、チーム全員で勝ち取れている」と胸を張った。勝つための仕事に徹する。それが大山らしさだ。

 前を打つ後輩の佐藤も「今日も決めてくれるだろうと思って見ていた。さすがだなと思います」と脱帽。大山も佐藤を「常に打っているイメージ」と認める。虎の4番を経験する2人だからこそ分かち合える感覚がある。互いに高め合い、背中を押す強打者が並べば怖いものはない。

 20日は巨人が敗れ、阪神が引き分け以上なら優勝マジック「29」が点灯する。それでも大山は「まずは自分たちの試合を頑張りたい」と足元を見た。2夜連続の劇勝にも浮かれない。粘って、走って、返して、最後に決める。藤川阪神の強さが凝縮されたゲーム終盤だった。