崖っぷちから一転、来季の「勝ちパターン候補」まで評価を戻してきた。今季も低迷し、今オフに再建へ動くメッツで、千賀滉大投手(33)が思わぬ形で存在感を取り戻している。先発として結果を残せず、一時はDFA(事実上の戦力外)も現実的な選択肢に挙げられた右腕が、ブルペン転向を機に別人のような投球を披露。40人枠を巡る厳しい「生存競争」の中で、来季も残すべき戦力へと評価をひっくり返した。
米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」傘下の電子版「ON SI」は19日(日本時間同日)、メッツが今冬に直面する40人枠の難題を特集した。トレード期限までにフレディ・ペラルタ(レイズ)、クレイ・ホームズ(カブス)、ルーク・ウィーバー(パイレーツ)らベテランを放出した一方、有望株や来季のブルペン候補を次々と登録。ルール5ドラフトから守る若手も抱え、現時点で来季の40人枠は31人が有力と分析している。新戦力獲得を考えれば、枠の整理は避けて通れない。
その中で扱いが一変したのが千賀だ。2023年には12勝7敗、防御率2・98でナ・リーグ新人王投票2位に入ったが、今季は暗転。6月24日(同25日)時点では先発7試合で0勝6敗、防御率10・08。腰の炎症による負傷者リスト(IL)入りを経て復帰しても安定せず、メッツは同日、ブルペンへの配置転換を決断した。
ところが短いイニングに集中すると、本来の威力がよみがえった。8月3~16日(同4~17日)は5試合連続無失点で計5回を1安打、2四球、7奪三振。3セーブを挙げ、直球は100マイル(約161キロ)に達した。代名詞の「ゴーストフォーク」との組み合わせも威力を増し、今や終盤の重要局面を任される存在となっている。
ON SIもブルペンについて、来季のクローザー候補にデビン・ウィリアムズを挙げる一方、「救援投手として最近復調を見せている」千賀はチームに残る可能性が「非常に高い」と評価した。救援投手だけで最大14枠を占め、整理対象が続出しかねない状況でも、千賀は切る側ではなく残す側に回った格好だ。
かつてのエース候補が先発の座を失い、そこで終わらなかった。むしろ救援という新天地で、自らの居場所を取り戻しつつある。メッツ再建の難題を解く一手は、放出ではなく「ブルペン・千賀」の定着なのかもしれない。












